一歩 ページ21
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「もう一度聞きます」
「はい？」
「錦戸くんから卒業するんやんね？」
沙耶から尋問(？)を受けたのは
あれから1ヶ月くらい経った9月の終わり頃のこと。
私の誕生日は10月頭だから
26歳もあと少しで終わってしまう。
「…はい」
少し間が空いてしまったけど
私は強く頷いた。
沙耶は私の顔をじっと見て、
よし。と呟く。
「前に言ってた合コン…飲み会の話やけど」
「あ、うん」
「ようやく話がつきそうです」
「おぉ」
ゼミが一緒だった人なんやけどね、
と沙耶はスマホをいじって私に向けた。
画面には写真が表示されていて
そこには沙耶と何人かの男女が写っていた。
「えっとね、…この人」
沙耶が指を指したのは
色白で、イケメンというよりは綺麗な人だった。
「わりと仲良くてさ、私。」
スマホの画面を消して、テーブルに置き、話す。
「人集めてよって言ったらめっちゃ渋ってたんだけど、やっと高校の友だち2人捕まえたって」
「2人…それじゃあ男の人3人になっちゃうね」
「って私も言ったの。うちら2人しかおらんでって。でもいいよ〜って。人数多い方が安心やしって」
「安心？」
「あ、彼シャイやから。おまけに人見知り」
「…同士か」
「せやな」
私の呟きに沙耶は笑った。
人見知りの人がいるのは
少し心強いかもしれない。
「その、ヨコっていうんやけど。ヨコの友だちも人見知りの人と逆にちょっとチャラい人らしい」
「チャラい人か…」
「見た目がね？遊んでそうやけどめっちゃ良い奴やからってヨコが言ってた」
遊んでそうな見た目で良い奴って
それほんまなん？
と私は疑心暗鬼になってしまうけど。
でも丸山くんみたいに
チャラくても根は真面目でいい人みたいなのもいるから一概に言えないのかなとも思った。
「いい？」
「…うん。頑張るよ、私！」
「よし！」
日程決めるからグループ作るね！
と、またスマホをいじり出す沙耶。
それを眺めながら、
少しドキドキしながらレモンサワーを飲むと
私のスマホが鳴った。
「亮や…」
「えっ」
沙耶は顔を上げる。
しかもメールとかじゃなく、電話だ。
「…ちょっと出てくるね」
「うん」
沙耶に見送られ、私は一度店を出た。
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作者名：はるまる | 作成日時：2019年2月1日 8時
