2人か3人か ページ3
.
「もしかして亮のこと好きやったりする？」
安田くんにそう聞かれたのは
亮と信五くんと別れて駅に向かっている道中だった。
「…別に、そんなんとちゃうで」
「そっかぁ」
私ってそんなわかりやすい？
そんな顔に出てる？
丸山くんにも安田くんにも見破られ
そしたら信五くんは何で気づかないんだろう。
…そういうのに疎いからか。
私が否定をすれば
安田くんももうそれ以上踏み込んでこなかった。
私たちの間に静寂が訪れ
生暖かい風があいだを抜ける。
「そうや」
次に口を開いたのは安田くんだった。
「花火大会。来週やって？」
「あ、うん。そうやで」
もうしばらく行けていない花火大会。
昔は友だちや、亮とも行ったことがある。
今年も例年通り、
8月の1週目の土曜日に開催予定だ。
「行く？」
安田くんのその言葉に
ふとこないだの安田くんの声が頭に響いた。
” ほな、今年は行く？ ”
” いつやっけ。仕事なかったら行こーや ”
あれは本気で言っていたのか
と少し驚く。
「…2人で？」
「でもいいし、マルと一緒でもいいし」
数年彼氏のいない私は
彼氏じゃなくとも2人で出かけるとなると
少し緊張してしまう。
「じゃあ…」
「…やっぱ」
丸山くんも一緒に。
そう言おうとした声が
安田くんの声と重なって
お互いに口を噤んだ。
「……やっぱり、」
安田くんの次の言葉を待った、
その時。
「章ちゃん！Aちゃん！」
駅にちょうどたどり着いた私たちを迎えたのは
丸山くんだった。
「あれ、マル…」
「よく会うな。飲み会帰り？」
「夏祭りの打ち上げしてきてん」
「そっかぁ。俺も友だちと飲んだ帰りやねん」
お酒の入った丸山くんは
いつもよりふわふわした話し方をしている。
話の途中だった安田くんは
私をちらっと見て、すぐ丸山くんに目を向けた。
「来週花火やな！」
丸山くんは駅の壁に貼ってあった
ちらしを指さす。
「今その話してたんやで」
「そうなん？行くの？」
「どうしようかって。丸山くんも行く？」
丸山くんは安田くんに視線を向け、
「俺もいいの？」と聞いた。
「うん。マルも誘う？って話しててんな」
「なら行こうかな」
改札を通り抜ける丸山くんを見ながら
「勝手に誘っちゃったけど、よかった？」
と聞くと安田くんは笑って頷いた。
「楽しそうやしね」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 159人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はるまる | 作成日時：2019年2月1日 8時
