卒業 ページ15
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私の顔を見て、スマホを覗く丸山くん。
「…亮ちゃん罪な男やなぁ」
「丸山くん、笑い事じゃないねんけど」
「ごめん」
とりあえず、返事をしよう。
…なんて送ればいい？
画面をタップして
キーボードを出したものの
そこで指は止まってしまう。
見てるよ。私も1つ見えた。
あの質問には触れなくていいかな…
そう思いながら指を動かしていると
「えっ」
私の手元からスマホがなくなった。
丸山くんは私のスマホの画面を消し、
私のポケットに突っ込む。
「なに？」
「流れ星見つけようや」
「でもまだ返事…」
「決めたんやろ？」
丸山くんの強い言葉に顔を見ると
丸山くんはまっすぐに私を見ていた。
「…探そっか」
私は亮から卒業するんだ。
丸山くんもあの人から卒業するんだ。
私たちは必死に空を見上げた。
＿＿
＿
「…結局3つ？」
「だね。」
「…あ〜〜〜悔しい！」
丸山くんが持ってきた数本のビールが
いつの間にかなくなってしまうくらいに
私たちは夢中で空を見上げた。
何度か見れたのに
発することができたのは 「あっ！」だけ。
「ビール飲みすぎちゃったし…」
「え、言うても3本とかやろ？」
「私明日沙耶と海行くねん。痩せなきゃって思ってたのに…」
お腹のお肉を摘む。
もっと早いうちからダイエットを始めるべきだった
と今更後悔する。
「Aちゃん全然痩せてるやん」
「そんなことないよ。お腹とかぶよぶよ」
「そうなん？…海、ええなぁ」
「沙耶の運転付きやで」
「沙耶ちゃん車持ってんの？」
「そう。あの子実はいい会社務めてるからね」
「さすがやなぁ」
エレベーターに乗り込み、
丸山くんを見る。
「今日は付き合ってくれてありがとう」
「ん？俺も見たかっただけやで？願い事もしたかったし。できなかったけど」
「悔しかったね」
「来年までに練習せな」
「願い事言う練習？」
「そう」
丸山くんはおちゃらけたようにそう笑った。
丸山くんはああ言ったけど
多分、私を心配して来てくれたんだと思う。
実際丸山くんが一緒にいてくれて
心強かった。
本当にその理由じゃなかったとしても
「ありがとうね」
私は感謝を伝えたかった。
丸山くんはそれを聞いて
笑って手を上げた。
エレベーターのドアがしまり、
私は部屋へ向かう。
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作者名：はるまる | 作成日時：2019年2月1日 8時
