コメディ映画 ページ12
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その映画は今流行りの女優が主演の
コメディ映画だった。
公開日からだいぶ経った作品のせいか
人はまばらだ。
真ん中あたりの席に座ると
丸山くんは2人の間にポップコーンを設置する。
「映画よく見るの？」
「よくってほどでもないけど、気になるのがあれば見るかな」
「私は誰かに誘われないと見ないんだよね」
「そうなんや」
「DVD出たら見ようかな、とか、テレビでやるかな、とか」
「映画にお金かけないタイプや」
「恥ずかしながら…」
ポツポツそんな会話をしていると
少し薄暗くなり予告映像が流れ始めた。
サスペンスもの、恋愛もの、感動もの。
色々流れる中、
思わず「うわっ」と声が出てしまうくらい
驚いた予告があった。
隣から視線を感じる。
「ごめん。びっくりした」
「今の映画めっちゃ面白そうやない？」
「うん」
「次あれ見よーや」
丸山くんはスクリーンを見ながらそう言った。
そのとき、辺りが真っ暗になって
本編が始まった。
＿＿
＿
「めっちゃ笑ったわ！！」
「ね！久しぶりにあんな爆笑した〜」
朝方までやっている居酒屋へ移動し
映画の余韻に浸る。
久しぶりの映画は面白かった。
「セリフ回し最高じゃなかった？」
「ほんまにさぁ！あの脚本家のセリフいっつもおもろいねん。大好きやねんなぁ」
「そうなんや。私全然知らないなぁ」
「俺のおすすめはね、…これ！」
映画の公式サイトを開いたスマホ画面を私に向ける。
「…へぇ。面白そう！」
「あらすじ読んでも面白いけど、実際見るとなにこれ？！って思うで。めっちゃくだらないんやけど、それが最高に面白い」
「へ〜！」
さっきはああ言っていたけど
実際はもっと映画を見る人なのかもしれない。
楽しそうに話をする丸山くんを見て
そんなことを思った。
そんな映画の話がひと段落した頃
私はふと思い出した。
「ペルセウス座流星群、明日やねん」
「え…？」
レモンサワーを飲むと
丸山くんは心配そうに私を見ていた。
「数日間見えるらしいけど、一番綺麗に見えるのが明日なんやって」
「そうなん…？」
「明日夜も雲ひとつない晴れの予定だから、多分綺麗に見えるだろうって天気予報で言ってた」
きゅうりをつまもうと箸を伸ばすと
灰皿が視界に入った。
亮のことも由紀ちゃんのことも
思い出そうとしなくても思い出してしまう。
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作者名：はるまる | 作成日時：2019年2月1日 8時
