ヒーロー克服物語 鬼滅の刃×ヒロアカ

その心は ページ38

炭治郎side
「俺達が行きますよ！」

あの人の少し困った顔を見て思わずそう言ってしまった。

歳は俺と同じで16なのにどうしてか大人びている貴方。

ヒーロー科の生徒達の護衛任務の時に貴方の背中の大きさを知った。

その時の貴方はとても、とても怖いと匂いがした。

全てを滅ぼす程の恐ろしい匂いが。

だけれど貴方は隠すのが上手で。

俺は長男だけど隠すなんて出来なくて、出来る貴方がとても凄いと思った。

どうして俺は1人の女の子さえ守れないのか。

どうして俺は今とても悲しいのか。

どうして俺は









貴方に手を伸ばしたいと思ってしまうのか。

届かないと分かっている、分かっているのに伸ばしたい、貴方のその寂しそうな全てを俺が包んであげたい。

けれど貴方は優しいから、何でもないよ、と嘘をつくんだ。

優しくも悲しい嘘。

貴方が嘘をつく時は何時も何処と無く悲しそうな、苦しそうなそんな匂いがする。

一度お館様が貴方にこんな事を聞いていた。





産屋敷「Aはどうしてそんなに辛いのに嘘をつくんだい？」

怒っているような匂いはしなかった。

貴方の過去を知っているから、だからお館様は貴方にそう聞いたんだと思う。

俺は貴方の過去を知らない。

貴方が話してくれるまで聞くつもりは無い。

けれどこの前全屋敷に行ったら貴方が声を上げて泣いているのを見た。

何故かは分からない。

何故かは分からないがその時俺も涙が出た。

後で継子の人に聞いたら先日助けたおじいさんが病気で亡くなってしまったかららしい。

赤の他人なのに涙を流せる貴方が凄くて、優しさを感じた。

そんな貴方を助けたい。

そんな貴方の傍に居てあげたい。

この心が許されない物でも貴方の為なら俺は罰せられたっていい。

それで貴方が楽になるならこの体も心も貴方にあげる。

だがら、







「笑って下さいよ。師範」

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