『優しい?寂しい?そんなの知らない』 ページ10
「で、何の用でわざわざ……というか、どこからついてきていたんだ?」
『学校とかいうところからだな』
(気付かなかった!)
夏目は額に手をやった。
まさか自分が妖怪の気配に気づかないとは……!
『しょうがない。私はトキワタリ、気配を消す……というよりは空間を渡ることができる。お前が反応しないように消えてやったんだ』
人に視える事は知られたくないのだろう――――?
少しだけ口の端を上げるAに、夏目は目を見開いた。
どうした、と首をかしげるAに目元を緩めて微笑んだ。
「優しいんだな、Aは」
しかしAは、恥ずかしがることもなく、驚きもせず笑いもせず、ただ不思議そうに尋ねた。
『優しい?』
続けられた言葉に、夏目は驚愕した。
――――優しいってどういうことなんだ?
ああ、やはりこの妖怪は……
訊こうか迷っていた言葉が、Aの言葉を聞いてしまえば、スルッとでた。
「A、君はいつも“独り”なのか?」
『“一人”?ああ、そうだ』
彼女はわかっていないのだ、一人と独りの違いを。
「寂しくないのか?悲しくないのか?」
『寂しい――――?夏目、先程から何を言っているんだ?』
Aはわからないんじゃない、知らないんだ。
愛情も感情も。
彼女の表情は一見笑んでいるけれど、瞳を見ればわかる。
形だけだと、おそらく心から笑った事はないのだと。
ずっと独りだったから。
「A」
『ん?』
「――――行こう」
『行くって何処に――――夏目!?』
Aの腕を引いて歩き出した夏目。
知ってほしい、わかってほしい。
自分が知った感情を。
夏目がAを連れて来た場所。
いつも中級たちが宴をしているあの場所。
今日も彼らは宴を開いて騒いでいた。
「おや夏目様、いらしてましたか!!ささっ、一杯どうぞ!」
「一杯、一杯〜!」
「だから、俺は飲まないって!未成年だ!」
「何だい、つれないね〜」
「なちゅめ〜、来てたのか〜」
「今更か!!って、おい!飲みすぎだ、先生!!」
「斑様、もう一杯いかが?」
騒がしい彼らに完全に置いていかれているAなのだった。
「夏目様〜我々の出番ですぞ〜!!」「出番!出番!!」→←ニャ「7話は、私は出ないだと!?」『あぁ』
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パール(プロフ) - 那七奈菜^^^^^^^^^^^^さん» もちろん、頑張っていきます! (2017年5月11日 22時) (レス) id: 989ff44c28 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - 澤濡さん» ありがとうございます! (2017年5月11日 22時) (レス) id: 989ff44c28 (このIDを非表示/違反報告)
紫機 - 澤濡さん» 頑張るぜ! (2017年5月10日 22時) (レス) id: 0a15b87590 (このIDを非表示/違反報告)
那七奈菜^^^^^^^^^^^^ - 面白一世これからもがんばってー\\ (2017年5月10日 17時) (レス) id: aa36e3d97e (このIDを非表示/違反報告)
澤濡 - 面白いですね^^これからも頑張って下さい^^ (2017年5月9日 17時) (レス) id: aa36e3d97e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫機&パール x他2人 | 作成日時:2017年3月28日 17時