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夏目「四話……か?」『ああ』 ページ6

木の上から降りてきたAは、森の木々を切り取ったような、その碧の瞳でジッと少年を見つめた。


『で……話とは何だ』


「話をする前に……名前を教えてくれないか?」


『何故名乗らないといけない……?』


眉を僅かに寄せて問う。

ほぼ初対面の相手にする態度ではないような気もするが、少年は気にしていないようで、困ったように笑んだ。


「だって……何て呼んだらいいか、わからないじゃないか。お前とか、アンタとかだと失礼だろ?」


そんなことを気にするものなのか、とAは不思議に思ったが、人の子の考え方とはそういうものかと勝手に納得した。


『……A……』


そう答えると、少年はさらに微笑んで
「いい名前だな」と言った。


――――どうして、この人の子がいると変な感覚に襲われるんだ……っ


「……大丈夫か?」


急に動きが止まってしまったようだ。

少年は心配そうに訊いてきた。


『……何でもない。人の子よ……』


「ん?」


首をかしげる少年に、Aは尋ねた。


『お前は、なんと言う?私は名乗ったんだ……教えろ』


「そうだな、名乗らせておいて名乗らないのも失礼だよな」


少年が「俺は――――」と名乗ろうとした時、足下にいた猫もどきがおい、と止めた。


「こいつはトキワタリという妖怪だな。下級だが、お前のような妖力の無駄に強いモヤシ、喰うかもしれんぞ。しかも名を知られれば、どうなるか知れたもんじゃない」


いきなり話しだした猫もどきは、Aを見上げてニヤリと妖しげに笑った。

が、Aはそんなことよりも気になったことがあり、つい口に出した。


『こいつは……狸か?』


「何だとぉぉっ!?私のような高貴な妖に狸だと!このプリチーさがわからんのか!!」


ギャーギャー言う狸、もとい妖に少年は拳を落とした。


「うるさいぞ、ニャンコ先生」


「何だと!?せっかく私が用心棒として言ってやったというのに!」


――――……この状況はどうしたらいいんだ?


真剣に悩みだすAなのだった。


「それに、Aはそんな悪い奴じゃないと思う」


そして少年はA見て今度こそ名乗った。


「俺は









――――夏目貴志だ」

『5』→←西村「夏目!休憩しよう!」夏目「に、西村!?」



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パール(プロフ) - 那七奈菜^^^^^^^^^^^^さん» もちろん、頑張っていきます! (2017年5月11日 22時) (レス) id: 989ff44c28 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - 澤濡さん» ありがとうございます! (2017年5月11日 22時) (レス) id: 989ff44c28 (このIDを非表示/違反報告)
紫機 - 澤濡さん» 頑張るぜ! (2017年5月10日 22時) (レス) id: 0a15b87590 (このIDを非表示/違反報告)
那七奈菜^^^^^^^^^^^^ - 面白一世これからもがんばってー\\ (2017年5月10日 17時) (レス) id: aa36e3d97e (このIDを非表示/違反報告)
澤濡 - 面白いですね^^これからも頑張って下さい^^ (2017年5月9日 17時) (レス) id: aa36e3d97e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫機&パール x他2人 | 作成日時:2017年3月28日 17時

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