【夏目友人帳】トキワタリと妖怪が見える少年 (ページ37)

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番外編今、このとき 3 改ページ37

一時的に人に見えるようになる薬を飲んで、すぐに役にたった。

夏目が視える体質だと知っているからこそ、子供らの言っていることはイライラとしかしなかった。

ので、つい早口で言いたいことを言ってしまった。

そして、夏目の友人だとも。

まぁ、あながち嘘ではないだろう。

未来で夏目の友人になっているんだから。

『友人が友人を守ろうとして、悪いか？』

さっきの妖怪にしたように睨むと、子供らはひっ、と疾風のごとく逃げ去った。

やり過ぎたかなと思いつつも、反省はしていない。

「あの……」

『ん？』

「ごめんなさい」

『え？』

「お姉さん、怖い人じゃないのに……僕のせいで怖い人だって思われちゃった」

夏目が本当に申し訳なさそうに言うので、Aはしゃがんで夏目と目線を合わせた。

『こういう時は、ありがとうって言うんだ。ごめんなさいじゃない』

「え……うん……ありがとう」

恥ずかしそうに言う夏目に微笑むと、今度は心配そうに話しかけた。

『夏目は……寂しい？』

「さ、びしい？僕が？」

夏目は無理やり考えないようにしていた感情である一つ。

寂しいなんて、悲しいなんて、言えるわけないからと。

『夏目はいつもあんな風に嫌がらせされてるんだろ？』

「嫌がらせ……なんかじゃないよ。だって僕が悪いんだ。僕がおかしいんだから……皆と違う僕は気持ち悪いんだよ」

『でも、嫌な気持ちにはなってる』

図星だったので、夏目は黙ってしまった。

『そういうことは、我慢したらいけない。泣きたいのなら泣けばいい。寂しいなら寂しいと言わないと、何も伝わらない』

「でも、家の人に迷惑かけちゃう」

幼少期の夏目の話を聞いていると、Aは怒りが込み上がってくることを感じた。

もちろん、夏目にじゃない。

家の人ということは、親ではなくおそらく親戚とかそういうことなんだろうけど、とにかく自分の知っている夏目が、哀しそうな目をして笑っていないことが信じられないし、そんな風にしてしまった人が許せなかった。

『私は夏目じゃないから、夏目の気持ちなんてわからない。わかるなんて言葉、軽々しく言えない。だから教えろ。夏目が苦しむ訳を。私にできる精一杯のこと、夏目にしてやりたいから』

まっすぐ見つめるAに夏目は目を見開き、次第に涙を溜めていった。