247. 〜黒夜叉誕生〜 ページ7
もう俺は限界だった。
戦いの最中に、刀を捨てて逃げようとした。だけど、刀が手から離れなかった。
『クロ、俺は血に飢えている…もっと人間の血をよこせ』
「は……?」
その言葉を聞いてから意識を失った。
気がついた時には戦場に立っているのは俺一人だけだった。敵も味方も、屍の山になっている。俺の手に握られた刀は、血を吸うように染み付いていた。
桜鬼がやったんだと悟った。
唯一、俺の足元で弟だけが身を震わせ怯えていた。
ーーーーー
夜になって俺がロウレスとやっと村に帰った時、俺を良くしてくれていた村人達が言ったんだ。
「黒い夜叉だ…」
俺の姿は、着物も血で染まり、あの真っ白な髪でさえ返り血を浴びて血に染まっていた。それが夜の月明かりだけじゃ赤い血が黒に見えたんだと。
それからだった。俺が「黒夜叉」なんて呼ばれるようになったのは…。
ーーーーー
俺はもう戦わないつもりだった。なのに気づけば戦場で刀を抜いて人を斬っている。
刀は捨てても捨てても俺のところに戻ってきた。
俺は完全に桜鬼に喰われかけていた。
でも忠幸の怒りはまだ止まることを知らず、ついにその武将の村人まで殺すように命令してきた。
俺がやってくると、村人達は恐怖の色を浮かべ逃げていく。
「助けてぇ!!」
男を斬る。
「やめて…助けて…」
子供を庇う母を斬る。
「おかあぁあ!!」
泣き叫ぶ子供を斬る。
「く、来るな!化け物!!」
武将を斬る。
俺は何千の人を斬った。
取り返しがつかないところまできてたんだ…。
50人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星歌(プロフ) - 唄さん» 本当は最初「犬夜叉」をイメージしてて血で黒く染まった表現がどうしてもしたくなってああなりました……すみません!! (2017年8月25日 22時) (レス) id: 06aac69c05 (このIDを非表示/違反報告)
唄 - ニーナさん≫それわかります!僕も見たときに、黒夜叉?あっ白夜叉!ってなりました! (2017年8月25日 22時) (レス) id: 02caf3c287 (このIDを非表示/違反報告)
星歌(プロフ) - ニーナさん» 銀◯の銀さんですよね?後々になってなんか似てるなって思いました(*´∀`*) (2017年8月11日 1時) (レス) id: 06aac69c05 (このIDを非表示/違反報告)
ニーナ(プロフ) - 見たのですが黒夜叉 白夜叉を思い出す (2017年8月11日 1時) (レス) id: af056c570d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:星歌 | 作成日時:2017年8月8日 19時