243. 〜桜鬼との出会い〜 ページ3
「あ、忠幸様と小夜姫！」
ある日、ロウレスの散歩に付き合わされながら庭を歩いていると、縁側で仲よさげに話す二人がいた。ロウレスに半ば巻き込まれる形で会話に加わった。
冬も近づき風が冷たくて、寒がりな俺が震えていると、小夜姫が早めの火鉢を出して来てくれてその中に石を入れてくれた。
「相変わらず優しいですね、小夜姫…」
「私も寒がりですから、よく気持ちは分かりますよ」
「クロ、小夜姫がいくら綺麗で優しいからって惚れるなよ？」
「もう忠幸様ったら」
「俺にはもう心に決めた人がいるから…」
忠幸の言葉に引っかかって、思わず言っちまった。はっとなって顔を上げると三人がにやにやとしている。
「クロはその初恋の人を探しに、また旅に出るのか？」
「え？」
「お前は俺にずっと仕えてほしいな…」
「忠幸…」
「なんつって！」
忠幸はにひひと笑い、俺とロウレスと小夜姫を連れて蔵に来た。
「クロにこれを渡そうと思って」
忠幸が出して来たのは長細い箱だった。蓋を開けてみると、中には立派な鞘を身につけた刀が入っていた。
「クロ、これに触れるときは無心で触れた方がいい」
「え？」
「心を食われる」
忠幸の言っていることに意味が分からないまま、俺は鞘を持って柄を握ってみた。その瞬間、刀からどくどくっと何かが流れてきて、思わず手を離した。
「何だこれ…」
「感じたか？これは妖刀だ」
「妖刀って…あの妖刀か？」
「おう。この妖刀は『桜鬼』って言ってな。この刀の昔話はまた小夜姫にしてもらうといい」
「何でそんなもんがあんだよ…」
「よく分からねぇけど、村人が持ってて困ってたのをご先祖様が持ち帰ったらしい。何でもこの刀に心を食われれば最後、己を失うらしいからな」
「そんな物騒なもんいらねぇよ…」
「俺も試したけど、どうも使えそうになくてな。だからクロなら大丈夫だろうと思って」
「何の自信だよ…」
俺はもう一度桜鬼を見た。不思議な感覚がして、もう一度手に取り刀を出してみた。体の芯から力が湧き始め、強くなったような気分になる。
「これ、いいな…」
俺は桜鬼を手に入れた。
その日から、『清』を使わなくなり、俺の本差は『桜鬼』になっていた。
〜〜〜〜〜
昔は火鉢の中に石を入れて熱くなったものを布に包んでカイロのような役割として持っていたそうです。
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星歌(プロフ) - 唄さん» 本当は最初「犬夜叉」をイメージしてて血で黒く染まった表現がどうしてもしたくなってああなりました……すみません！！ (2017年8月25日 22時) (
レス) id: 06aac69c05 (このIDを非表示/違反報告)
唄 - ニーナさん≫それわかります！僕も見たときに、黒夜叉？あっ白夜叉！ってなりました！ (2017年8月25日 22時) (レス) id: 02caf3c287 (このIDを非表示/違反報告)
星歌(プロフ) - ニーナさん» 銀◯の銀さんですよね？後々になってなんか似てるなって思いました(*´∀｀*) (2017年8月11日 1時) (レス) id: 06aac69c05 (このIDを非表示/違反報告)
ニーナ(プロフ) - 見たのですが黒夜叉 白夜叉を思い出す (2017年8月11日 1時) (レス) id: af056c570d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星歌 | 作成日時：2017年8月8日 19時
