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9.執務室 ページ9

私にはエドワードのようにズカズカと入っていく勇気はなかった。
なので、執務室の外で壁に寄りかかっていた。
いつ入ればいいのか分かからずにウジウジしていると、エドワードが出てきて、私の手首を掴んだ。そして、手首を引いて執務室に連行する。
その時に初めてエドワードに触れて、手袋越しにオートメイルがひんやりしてるのが分かった。手を引かれて、内心では笑いが止まらなかった。そして、これがオートメイルの感触なのかと興奮していた。

私が部屋に入って発された第一声は『うわ、大将より豆じゃないっスか。』だ。
その時、エドワードが暴れ出しかけたが、アルフォンスが押さえつけて獣使いのようになだめた。
ひと段落付いて、大佐が一言。

「ここらでは見ない顔立ちだな。異国の者か?」

私の顔を一瞥して、エドワードが答える。
「さあ。オレは知らないけど」と一言。そして、左手で右腕を掴みながら、こう付け加えた。
「こいつは“あれ”をみたなんて言いやがった。」

真理を見たと言ったことをまだ怒っているらしい。本当のことなのに。
まあ、兄弟が機嫌を悪くするのも仕方のないことなのだが…

「そうか…なら、君も錬金術師なのだな。
しかも、相当凄腕ときた。」

そこで、フュリーが一言挟んだ。エドワードより年下に見える私が凄腕であることを疑ったのだ。

「鋼のより年下で、しかも“あれ”をみる事になるほどの知識と技量を持つなど余程の天才なのだろう」

私を置いてどんどん話は進んでいく。
実際、そんな天才だったなら勉強に苦労はしていない。

「凄腕とかその前に、まず私は錬金術師ではありません!というか、勉強もまともに出来ないのに、錬金術なんて理解できないです!」

「なのに“あれ”をみたと?」

その通り。その通りなのだ、増田よ。

「オレたちも不思議に思ったんだよ。どこかの錬金術師から聞いた話かと思ったんだけど…
それとこいつ、落ちてきたとはいえ何か身元を証明する物くらい持ってるはずだ。
なのにこいつは変な機械ばっかり持っていやがるし、センス悪い服着てるし。」

実はポケットに携帯が入っているのだ。ただし、充電が切れたらただのガラクタと化す。
そして、センスが悪いというのは学校の制服だ。扉に引き込まれた後、気付けばこの格好だった。セーラー服は日本限定のものらしいので、珍しいと思われても仕方ないのだが。
しかしまあ…トリップした先の世界の服を着用しているものと当然のように期待した私がバカだった。

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設定タグ:鋼の錬金術師 , トリップ , ハガレン   
作品ジャンル:アニメ
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小松 翠(プロフ) - 白夜の幻想者さん» 作者としては、面白いのはここまでのように感じてしまうんですが…面白いと感じてもらえて良かったです! 小さいのもエドの長所だと、私は思っていますよ…(笑) 小説の閲覧、そしてコメントをありがとうございます。とても励みになります。 (2017年7月23日 10時) (レス) id: 1bf852082a (このIDを非表示/違反報告)
白夜の幻想者 - なんか、とっても深くておもしろかったです!真理も色々あるのかな?夢主ちゃん頑張れ!エドは意外といろんな面で小さいぞw小説頑張って下さい! (2017年7月23日 10時) (レス) id: 55b7b486eb (このIDを非表示/違反報告)
小松 翠(プロフ) - アザミとヒマワリさん» トリップなんてしたことはないので、本当にそうなるかは分かりませんが…他の夢小説では夢主がエドたちとすぐに打ち解けていたので「それなら私が逆を行ってやろう!」と思い、書かせていただきました(笑) この小説をお読みくださって、ありがとうございます。 (2017年7月23日 9時) (レス) id: 1bf852082a (このIDを非表示/違反報告)
アザミとヒマワリ - トリップの現実を知りました・・・。 (2017年7月23日 9時) (レス) id: 7f2420204c (このIDを非表示/違反報告)
小松 翠(プロフ) - もちもっちーさん» こんな作品を面白いと言ってくださる方がいらっしゃるなんて、感動です!ありがとうございます! (2017年3月19日 22時) (レス) id: b7dab0506b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小松 翠 | 作成日時:2017年2月28日 0時

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