39. “迷子” ページ39
長い廊下で迷子になりかける。
私は根っからの方向音痴なのだ。
それなのに、うっかり部屋番号を確認するのを忘れていた。やってしまった…!と後悔しても、もう遅い。後悔先に立たず。
私は、この状況には前例がある。
友達とカラオケに行った時も同じ事をして、なかなか部屋が見つからなかったのだ…と、いう私の失敗話は置いておこう。
エントランスのカウンターで兄弟が宿泊する部屋を聞いて案内してもらえば良いのだ。
・・・しかし…
部屋が分からなくなりました など…
この年になって迷子では赤っ恥ではないか。自力で探してみよう。
それでも分からないなら、大人しく聞きに行こう。
結局…
どこも同じ扉が続く廊下では、見覚えのある場所を探すなどということはできず…
諦めてエントランスのカウンターへ向かう。
事情を説明して、兄弟の部屋を調べてもらう。その情報を聞いて部屋を探す。
廊下の分かれ道は部屋の大まかな区切りで左右で分けられている。そこで一瞬迷いはしたが、正しい道へと進む。
兄弟が宿泊する部屋を見つけた。ああ、やっとだ。もしかしたら、私が戻ってこないことに心配の念を抱いてくれているのでは…
などという考えが脳裏をよぎる。
ドアノブを捻り、ドアを押––せない。
(ルームキー忘れたぁぁぁッッ!!!)
無言で方向転換。そして、再びエントランスのカウンターへ直行。もう迷わないぞ。
マスターキーで扉を開けてもらい部屋に戻ると、まだエドワードたちは資料を読みふけっていた。
私が戻ったのにも気付かない。
私の事を心配してくれているのでは という考えは見事に打ち砕かれた。
「お風呂、先入るからね。」
そう声をかけて、ユニットバスへ向かう。
私は声をかけたのだから。もし、後から「オレも入りたかった」とかの文句を言われようが、私の知ったことじゃない。
まあ、エドワードは『先に入りたかった』などと“小さい”ことを言う子供ではないか。
蛇口を最大まで捻る。
お湯をためて、ドボンと頭まで潜る。
溢れた水がバチャバチャと音を立てて床に叩きつけられた。
今、再び頬を伝う
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小松 翠(プロフ) - 白夜の幻想者さん» 作者としては、面白いのはここまでのように感じてしまうんですが…面白いと感じてもらえて良かったです! 小さいのもエドの長所だと、私は思っていますよ…(笑) 小説の閲覧、そしてコメントをありがとうございます。とても励みになります。 (2017年7月23日 10時) (レス) id: 1bf852082a (このIDを非表示/違反報告)
白夜の幻想者 - なんか、とっても深くておもしろかったです!真理も色々あるのかな?夢主ちゃん頑張れ!エドは意外といろんな面で小さいぞw小説頑張って下さい! (2017年7月23日 10時) (レス) id: 55b7b486eb (このIDを非表示/違反報告)
小松 翠(プロフ) - アザミとヒマワリさん» トリップなんてしたことはないので、本当にそうなるかは分かりませんが…他の夢小説では夢主がエドたちとすぐに打ち解けていたので「それなら私が逆を行ってやろう!」と思い、書かせていただきました(笑) この小説をお読みくださって、ありがとうございます。 (2017年7月23日 9時) (レス) id: 1bf852082a (このIDを非表示/違反報告)
アザミとヒマワリ - トリップの現実を知りました・・・。 (2017年7月23日 9時) (レス) id: 7f2420204c (このIDを非表示/違反報告)
小松 翠(プロフ) - もちもっちーさん» こんな作品を面白いと言ってくださる方がいらっしゃるなんて、感動です!ありがとうございます! (2017年3月19日 22時) (レス) id: b7dab0506b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小松 翠 | 作成日時:2017年2月28日 0時