33.晴れて ページ33
〜翌朝〜
私を起こしに来たのはグレイシアさんだった。寝起きからグレイシアさんの美しい顔を拝めるなんて、感動だ。
グレイシアさんが貸してくれたパジャマを脱いで、セーラー服に着替える。
朝食を食べ、挨拶を済ませ、玄関に行くと、すでにヒューズがスタンバイしていた。
外に車を待たせているらしい。
エリシアやグレイシアさんとの別れを惜しみつつ、その待たせている車に乗り込む。
窓を開け、グレイシアさんにもう一度お礼を言い、エリシアに「またね」という。
あくまでも「またね」なのだ。
私はまたこの家に来る気である。
車が動き出してから窓の外を眺めてばかりる。昨日は暗かったから、よく見えなかったのだ。やっぱり、洋式の街並みは美しい。
まあ、普段と違うから美しく見えるだけかも
しれないが。 ずーっと眺めていると、
いつの間にかすぐそこに司令部が見えていた。大佐たちに会えるのが楽しみな反面、また疑いの目で見られるのが嫌だ。
ヒューズが勢いよく扉を開け放つ。
「よお〜、ロイ!」
同時にマスタングは『面倒くさいのが来た』というような顔で溜息をつく。
「なぁ、見てくれよ〜、これ!!
新しい写真なんだがな!前に見せたのも可愛いかったけが、これもまた可愛いだろう?!
ちょっと前に、うちに客が来ててさ。一緒に遊んでもらってたんだよ。その時の笑顔がもう
可愛いのなんのって!!まだあるぞ、見るか?見るだろう?!この写真は––」
バチッ!という音がして、小さな火花が出る。マスタングが発火布を擦ったのだ。今度は
ヒューズがそれに溜息をつき、真剣な表情になる。
「っ・・・ったく、もう少しくらい喋らせてくれたって良いだろうに。
で、エリクシーだが…昨日はうちに泊まらせた。少し見張っていたんだが、特にこれといって怪しいことはなかった。」
「そうか。なら良いんだが…」
ちょっと待て。私は見張られていたのか。なんだか恥ずかしくなってくる。
「そういえば、エリクシーとは空に投げ出されたという奴の名前か?」
「ああ。ってロイ、お前は聞いてなかったのか?」
「ああ。鋼のが何も言わなかったからな。」
いや、名前を聞く前に連行されたんだがね。
、マスタング大佐よ。
私はヒューズと一緒にマスタングの執務室に入ったのだが、どこにいればいいのか分からずにただ、入り口の辺りで立ち尽くしている。
「エリクシーちゃん。」
そんな私に声をかけたのはこの部屋の支配者とも言えるであろう、ホークアイ中尉だった。
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小松 翠(プロフ) - 白夜の幻想者さん» 作者としては、面白いのはここまでのように感じてしまうんですが…面白いと感じてもらえて良かったです! 小さいのもエドの長所だと、私は思っていますよ…(笑) 小説の閲覧、そしてコメントをありがとうございます。とても励みになります。 (2017年7月23日 10時) (レス) id: 1bf852082a (このIDを非表示/違反報告)
白夜の幻想者 - なんか、とっても深くておもしろかったです!真理も色々あるのかな?夢主ちゃん頑張れ!エドは意外といろんな面で小さいぞw小説頑張って下さい! (2017年7月23日 10時) (レス) id: 55b7b486eb (このIDを非表示/違反報告)
小松 翠(プロフ) - アザミとヒマワリさん» トリップなんてしたことはないので、本当にそうなるかは分かりませんが…他の夢小説では夢主がエドたちとすぐに打ち解けていたので「それなら私が逆を行ってやろう!」と思い、書かせていただきました(笑) この小説をお読みくださって、ありがとうございます。 (2017年7月23日 9時) (レス) id: 1bf852082a (このIDを非表示/違反報告)
アザミとヒマワリ - トリップの現実を知りました・・・。 (2017年7月23日 9時) (レス) id: 7f2420204c (このIDを非表示/違反報告)
小松 翠(プロフ) - もちもっちーさん» こんな作品を面白いと言ってくださる方がいらっしゃるなんて、感動です!ありがとうございます! (2017年3月19日 22時) (レス) id: b7dab0506b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小松 翠 | 作成日時:2017年2月28日 0時