29.事情 ページ29
しばらく室内のソファに座り待っていたのだが、なかなかヒューズが戻ってくる気配は
無い。エリシアがなかなか寝付かないのだろうか。様子を見に行こうとブロッシュ軍曹が席を立ったと同時に扉が開いてヒューズが戻ってきた。入室から開口一番。
「お前ら、なんでエリシアの事知ってたんだ?
さっきコソコソ話してたろう。」
ば、ばれてた…
本当にコソッとしか話していないのに。
名前を出したことに反応しなかったのはわざとだったのか。さすがヒューズ中佐。
「メリッサ、どうしよう。」
「私に言われても…」
互いに目で会話を交わす。
しかし、アイコンタクトで会話をしても
ヒューズには分かってしまう。
「お前たちはロイ…いや、マスタング大佐に
捕まったんだったな。お前たち二人とも。」
否定はできない。
が、私の場合はエドワードについてきたらたまたま捕らえられただけなので、マスタングに捕まったというのも少し違う気がする。
「この部屋は盗聴されていないことを確認済みだ。お前らはどっちも子供だし、情状酌量の余地もあるだろう…話せよ。」
少しの間、無言が続く。そして私とメリッサ、目を合わせてから話し出す。まずはメリッサから。
「私はメリッサ・リライト。軍人さん
なら知っていますよね。去年、逮捕されました。密入国、イシュヴァールから逃げ出し、犯罪の補佐。私はいろいろな種の犯罪に手を染めました。弁解する気はありません。」
メリッサは全ての罪を認め、自分に課せられた罰を受け入れているようだ。でも、そんな…
「そうか…弁解する気は無い、か…」
「ちょっと待って!!
メリッサは、確かに罪を犯したのかもしれないですけど!でも…!」
私は知っている。
「でも、それは生きていくためには仕方のなかったことなんです!
メリッサはかつて、イシュヴァールの民と共に暮らしていたと本人から聞きました。その生活はとても苦しかったと、メリッサは語りました。苦しい生活から抜け出すため、メリッサはイシュヴァールから抜け出し、少しでも家族を楽にしてあげようと、お金を稼ごうと––」
まだ言い終わっていないのに。
メリッサは手で私に静止を促した。
「エリクシーが私のことを思ってくれているのは分かった。ありがとう。
でも、過去は変わらない。」
メリッサ…
「それより、貴女の話を聞かせて。
私、まだ詳しい事は聞いてないから」
無言が続く室内。
「私は…エリクシーです。不法入国とか密入国とかで捕まったけど…」
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小松 翠(プロフ) - 白夜の幻想者さん» 作者としては、面白いのはここまでのように感じてしまうんですが…面白いと感じてもらえて良かったです! 小さいのもエドの長所だと、私は思っていますよ…(笑) 小説の閲覧、そしてコメントをありがとうございます。とても励みになります。 (2017年7月23日 10時) (レス) id: 1bf852082a (このIDを非表示/違反報告)
白夜の幻想者 - なんか、とっても深くておもしろかったです!真理も色々あるのかな?夢主ちゃん頑張れ!エドは意外といろんな面で小さいぞw小説頑張って下さい! (2017年7月23日 10時) (レス) id: 55b7b486eb (このIDを非表示/違反報告)
小松 翠(プロフ) - アザミとヒマワリさん» トリップなんてしたことはないので、本当にそうなるかは分かりませんが…他の夢小説では夢主がエドたちとすぐに打ち解けていたので「それなら私が逆を行ってやろう!」と思い、書かせていただきました(笑) この小説をお読みくださって、ありがとうございます。 (2017年7月23日 9時) (レス) id: 1bf852082a (このIDを非表示/違反報告)
アザミとヒマワリ - トリップの現実を知りました・・・。 (2017年7月23日 9時) (レス) id: 7f2420204c (このIDを非表示/違反報告)
小松 翠(プロフ) - もちもっちーさん» こんな作品を面白いと言ってくださる方がいらっしゃるなんて、感動です!ありがとうございます! (2017年3月19日 22時) (レス) id: b7dab0506b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小松 翠 | 作成日時:2017年2月28日 0時