１２.禁忌ほど ページ12
その頃、司令部にてこのような会話が交わされていた。
「おい、大佐。詳しい事も聞かずにいいのかよ？」
ソファの背面にもたれかかり、宙を仰ぎ見ながら問いかける。
マスタングに問いかけられているが、彼の目線はどこか定まらなかった。
「そうですよ。もし免罪だったらどうするんですか？」
俯き加減にそういったアルフォンス。
マスタングは一瞬仕事の手を止めたが、またすぐに動かし始めた。そして、こう言った。
「君たち自身もよく分かっているだろう。」
それは、書類から顔を上げることもなく、手を止めることもなく静かに放たれた一言だった。
真理を見るほどの大練成。そうなれば、罪状は火を見るよりも明らかだ。
錬金術師であり、実際にそれをみた二人は痛いほどにそれが感じられるだろう。
部屋に沈黙が訪れる。
その間、部下たちは黙々とそれぞれに与えられた仕事をこなしていく。
かつて、部下たちがこれほどまでに真面目に仕事をしたことがあっただろうか。
数十秒後、その沈黙を破ったのはエドワードだ。
「確かに、“あれ”を見たとなれば…“あれ”を見るほどの練成となれば…」
苦い顔でそう呟き、おもむろに立ち上がったエドワードは黙って執務室を出ていった。
アルフォンスは一言断り、兄の後に続いた。
司令部を出てホテルに戻る間、兄弟の間にこんな会話があった。
「そういやぁさ。真理を見たってんだろ？あいつ。」
「本人が言う限りはね。」
『仮に』と言葉の先頭につけなくとも、二人は仮の話として共有しているようだ。
つまり、信用されていない。
「なら、あいつも何かしら持って行かれたんだよな。」
「そうなるね。」
どこか遠い目をしているアルフォンス。
「あいつの言い方だと、真理をみた後に落ちてきた、みたいな口ぶりだったよな。」
「そうだね。その割には…」
二人は出会ってから司令部で別れるまでのAの姿を思い浮かべた。
「ピンピンしてたよな。あいつ、何を持っていかれたらあそこまで元気でいられるんだよ。」
「さあ。」
アルフォンスの返事は素っ気ないものだった。
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小松 翠(プロフ) - 白夜の幻想者さん» 作者としては、面白いのはここまでのように感じてしまうんですが…面白いと感じてもらえて良かったです！ 小さいのもエドの長所だと、私は思っていますよ…（笑） 小説の閲覧、そしてコメントをありがとうございます。とても励みになります。 (2017年7月23日 10時) (
レス) id: 1bf852082a (このIDを非表示/違反報告)
白夜の幻想者 - なんか、とっても深くておもしろかったです！真理も色々あるのかな？夢主ちゃん頑張れ！エドは意外といろんな面で小さいぞｗ小説頑張って下さい！ (2017年7月23日 10時) (レス) id: 55b7b486eb (このIDを非表示/違反報告)
小松 翠(プロフ) - アザミとヒマワリさん» トリップなんてしたことはないので、本当にそうなるかは分かりませんが…他の夢小説では夢主がエドたちとすぐに打ち解けていたので「それなら私が逆を行ってやろう！」と思い、書かせていただきました（笑） この小説をお読みくださって、ありがとうございます。 (2017年7月23日 9時) (レス) id: 1bf852082a (このIDを非表示/違反報告)
アザミとヒマワリ - トリップの現実を知りました・・・。 (2017年7月23日 9時) (レス) id: 7f2420204c (このIDを非表示/違反報告)
小松 翠(プロフ) - もちもっちーさん» こんな作品を面白いと言ってくださる方がいらっしゃるなんて、感動です！ありがとうございます！ (2017年3月19日 22時) (レス) id: b7dab0506b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小松 翠 | 作成日時：2017年2月28日 0時
