学校でモテ始めて、嫉妬しちゃうエーサボ ページ13
どっちも運動できそうだけどエースはバイト、サボは親が禁止して部活やってないと良い思います
軽やかにネットの擦れる音に、体育館は一時騒然とした。
「なあいすパス！エース！」
「おう！」
そんな空気など意にも返さず、二人の青年がハイタッチする。
クラス対抗球技大会の室内種目であるバスケで、サボとエースのクラスは見事に決勝まで勝ち進んだ。
決勝はオールコートを使うため、必然的に体育館にいるすべての生徒が注目している。
女子の得点を男子が引き継ぎ、最終的な点数が高いほうが勝ちというこのルール。相手クラスには女子バスケ部と経験者が５人もいたため、男子たちは苦しい状況からのスタートである。
そんな中、先制点が決まって油断する敵チームも、攻めに戻ろうとする味方も置き去りにする、エースのエンドラインからフリースローラインまで届く豪速ロングパスと、それをあたかも知ってたかのように受け止めて、フリーで悠々とレイアップシュートを決めたサボ。
会場が一瞬静かになって、一気に歓声に包まれた。
「すっげぇ」「今の人たちバスケ部？」「あれ6組のエースとサボだぞ」「なんだよあの豪速球」「なにあの速攻やば」「バスケ部負けてんじゃねーか！」「かっこよすぎん？」
もちろん飢えた肉食獣より肉食的な女子高生たちも、「きゃーーーーーー」と黄色い悲鳴を飛ばす。
決勝まで勝ち進むだけあって相手チームにはバスケ部のキャプテンやその他運動部のエースもいた。
それらと対等に渡り合うエースとサボの運動能力には目を見張るものがあった。
試合は終わってから、エースとサボにはギャラリーが大量にできていた。
「おいおいエースぅ!お前バスケ部入れよ！いい線行くと思うぜ！」
「おれ！お前に弟子入りするわ！」
「エース相変わらずすごいわね！」
サボはエースを横目で見て、すこし憂いのにじむ思いをした。
(エースはほんとに皆に好かれるよなぁ、昔から。なんか……)
独占欲と嫉妬。
自分の抱いたその感情の名前が分かった時、サボは顔に熱が集まるのを感じた。
あわてて頭を振って、寄って来たほかのクラスの奴の顔を見る。
「ねえねえサボ君！運動もできるなんてすごい！」
「サボ君かっこよかったよ〜」
「おまえひょろっちいのに意外とやるなぁ」
知らない奴に肩を組まれてちょっと顔が引きつる。
その顔を、エースは見ていた。
(サボ困ってるなぁ、でもこれでサボに絡む奴が増えたら……)
支配欲と獣性。
エースに名前は分からなくても、それはしっかりと心に根を張る。
((あ〜〜〜もう！！))
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 16人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：piece OF cake | 作成日時：2020年12月5日 1時
