続・ピアス開けてほしい ページ29
てなわけで今、買ってきたピアッサーを机の上に置いて、『サボ ピアス開け計画』を実行しようとしていた。なんだそれ。
「じゃあ、覚悟はいいか」
「ばっちり」
満足そうに笑うサボ。こういう時は、馬鹿みたいに男前だ。
友人に頼まれて他人のピアスも何度か開けたことがあるので、俺は慣れた手つきで準備を進めた。
雑菌が入らないように、耳たぶを消毒液を浸したコットンで拭いてやると、それが冷たかったのか、「ひっ」と体を強張らせた。意外と緊張してんのか。
鏡をもって、ペンでピアスを開ける場所に印をつけさせて、いよいよピアッサーをセットする。
「いけ!一思いに!」
流石に怖いのか、体ががたがたと震わせて、目をギュッとつむっている。
クッションを渡してやると、それを体の前でギュッと握りしめた。
子供かよ。
ピアッサーを印の位置に合わせる。
「動くなよ、いくぞ……」
力を込めてピアッサーを一気に握り込んだ。ガチッと大きめの音が鳴って、サボが一層強くクッションを抱えた。耳元で聞くと、中々怖いんだよな、この音。
サボの耳の裏まで針が貫通してキャッチに嵌っているのを確認すると、ゆっくりピアッサーを取り外す。
終わったぞー、と肩を叩いてやると、サボは恐る恐る目を開ける。
「痛くなかったか？」
「……意外と平気だね。でもちょっと違和感ある」
「そりゃな」
鏡を手渡すと、右耳に煌めく小ぶりの青いピアスを見て「おお……」と感嘆の声を漏らす。
「左も開けるか？」
「ううん、とりあえずいいや」
鏡の角度を変えながら、嬉しそうにピアスを眺める。
「一か月は寝る時も風呂入るときもつけっぱにしとかなきゃダメだからな。触ると結構痛いから気をつけろ」
「え!!一か月はずせねぇの?!」
「あほ、ピアスはそういうもんだよ。安定期が終わる前に外したらホール塞がるし、強引にあけるとケチャクチャいてぇぞ」
「え〜……」
とたんにしょぼくれ始める。
「せっかくエースとおそろいのピアス買っといたのに」
オレ、二度目の吐血。
まあ、これも誇張であることに違いは無いのだが、今回は『ぐはぁ』と口に出してしまったし、サボに変質者を見る目を向けられた。
……なあサボ、知ってるか。
一つだけピアスを開けるとき、左に開けるのが男、右に開けるのが女らしいぞ。
右耳で光るピアスを見つめて喜ぶサボを見て、俺は意地悪く笑った。
右耳が女性ってことを、実はサボ君も知っててやってたら私が嬉しい。
先生が言った衝撃の言葉＆コピペネタ１１→←ピアスあけてほしい
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作者名：piece OF cake | 作成日時：2020年12月5日 1時
