助言通り ページ3
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「つまりですよ、シャチョ。アンタの“生気”はおかしいくらい濃いです。今まで魔族の餌にならなかったのは、あのザコ淫魔のチャームが効かないのと関係ありそーだけど…」
よくわかりませんわ〜。と葛葉は手をヒラヒラと振る。
「確かに健康には自信がありましたけど、生気とやらも濃い?とは…」
「生きてる分には問題ないし、人よりパワフルゴリラってだけなんで」
ポケットに両手を突っ込んで飄々と葛葉が告げる。そしてそのまま加賀美の目の前から霧のように消えた。加賀美は驚いて周りを見渡すが、いつの間にか背後に立つ彼の長い爪が首元にくい込んでいた。
「アハ うまそー」
「ちょっと葛葉さん!?」
「ウソウソ、冗談w」
そして今度こそ、リビングから姿を消す。首にくい込んだ爪の感触だけが、葛葉がここに居た事を証明するのみだった。
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薄目を開けて、少し前に葛葉が言っていた事を思い出す。あぁ、彼はこの事を言ってたのか、とAの様子から伺い知る事となった。
鮮烈、恍惚
Aは加賀美の生気に溺れるような心地であった。今はもうなりふり構わず、その渇いた身体に染み込ませる為に唇を貪る。
「はぷ、ちゅ…んむ……!」
Aは夢中で加賀美の襟元をぐしゃ!と強く掴む。背中は勝手に丸まり力が入り、大きすぎる力に耐える。
もっと、もっと。こんなに美味しいものはない。Aは加賀美に寄りかかって、ベッドに沈める。部屋に響く水音と吐息。しかしそこにあるのは蕩ける恋人同士の蜜月ではなく、生き物としての捕食行為。
「ん、ん…ちゅ、……ぷはっ」
Aは息継ぎの為に1度唇を離し、加賀美の顔を見る。自分の髪の毛が加賀美の周りを天蓋のように囲う。加賀美が何を考えているのかは分からない。計算して造られたかのような白亜の顔が、桃色の中に浮かんでいる。瞳孔は微かに開かれAの目を一心に見つめ、湿度により襟足が少しだけ首に張り付いている。温度のない表情に、心配になる。
(やべ、やりすぎた…?でも止まんね…)
口元で息をし、両者の目は火花が出るほど近い。直ぐにでも吸いたいのを我慢し聞く。
「ハヤト、大丈…わっ!」
「ええ。」
「な、平気なのかよ!俺結構吸ったよ!?」
Aが心配した矢先、加賀美は長い足を振り上げぐるんと2人の天地を入れ替えた。そして少し満足そうに片眉をクッと上げ呟く。
「まだ、いけそうですね」
「へ?」
微かにギラついた瞳で、加賀美はもう一度Aに口付けた。
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あい(プロフ) - 温帯亭気圧さん» ありがとうございます!誤字ってました…恥ずかしい… (1月5日 21時) (レス) id: 77eb95d78f (このIDを非表示/違反報告)
温帯亭気圧(プロフ) - あいさん» リクエストありがとうございます〜!ちゃんと話を繋いで出来上がるまで少々お待ちください!ご心配もありがとうございます😌 (1月5日 19時) (レス) id: c0418335ef (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - リクエスト失礼します。本社で迷子になってしまっているところをymoiとkndに保護される内容を書いて欲しいです。最後になってしまいますが、いつも楽しく読んで頂かせています。大変なことが多々起こりますが、これからも体調に気をつけて元気に生活費して下さい。 (1月5日 10時) (レス) @page9 id: 77eb95d78f (このIDを非表示/違反報告)
温帯亭気圧(プロフ) - 雨さん» めちゃくちゃ嬉しいです!ありがとうございます😭 (9月9日 22時) (レス) id: c0418335ef (このIDを非表示/違反報告)
雨 - めっちゃ好きです!!!!! (9月7日 12時) (レス) id: 20d3cc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:温帯亭気圧 | 作成日時:2023年7月7日 22時