バーチャルインキュバス登場！2

箱の中にいる2 ページ13

夢追が考え込み始めた頃に戻る。
神田は壁に背中をピッタリくっつけて、Aを床に下ろしてやった。Aは夢追の方を向いているので顔は見えないが、身長について何か文句を言っているようだった。

薄ぼんやりと桃色に発光するAの角を眼下に、不味いことになったなと少し他人事みたいに考える。
男3人でギチギチのこの箱は、夢追やAのように細身ならまだ余裕が持てるかもしれないが…神田は着痩せするタイプである。完璧に肩幅がはまっていてちょっと痛い。
モゾモゾと動いて、痛くない位置を探す。自然と体がAの背中に寄りかかるような形になり、「あ、ごめん」と気安く声をかけようとした時である。

「んっ…ふ、ぅ…❤」

ビキリ、と体が硬直する。Aがか細い声で、何だかよからぬ声を出しているのを聞いてしまったのだ。
え？何、どうして…と、目線を夢追に向けるが、ブツブツと口の中で何か呟きながら思考を整理している様子で、Aの声には気付いてない。

恐る恐る下を見る。
丸い桃色の後頭部を見下ろすと、微かに震えているように見えた。長いふわふわの髪が、白い背中を滑って揺れる。両手は夢追に縋っていて、彼の胸の辺りに添えられている。そして、その男にしては大きめな尻が嫌❤嫌❤と時々左右に小さく揺れる。

これは非常に不味い。もう他人事ではいられなくなってしまった。

近くに来た事でわかったが、彼は甘くて可愛い匂いがするのだ。
男だと分かっているし、さっき会ったばかりの他人の癖に余りにも劣情を煽るその様子は、危険ですらあった。
しっとり焦をかいたうなじ、長い耳は少しの揺れでも大袈裟に弧を描く。何故かは分からないが彼の息はどんどん荒くなっていき、その柔らかくてもちもちの尻が神田の腰にピッタリと密着する。

全然普通に勃起しそうだった。
絶対に駄目だろ！と脳は分かっているんだけれど、制御が出来ない。俺まだライバーでいたいんですけど！といくら踏ん張っても、もちり❤と腰に尻が押し付けられては為す術はない。
そもそもインキュバスと密着していて変な気を起こさない方が不思議である、神田は何も悪くない。おかしいのは夢追の方なのだ。

何とか気を紛らわそうと目線を彷徨わせていると、夢追が何かを握りこんでいるのがぼんやりと見えた。暗くてよく分からないが目で辿ると、どうやらそれはAの腰から生えてる尻尾のようだ。

「、ぁ゛❤」

そして、それがこの声の元凶らしかった。

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