箱の中にいる ページ12
次の瞬間
ぼふん!とポップな音がなり、Aと夢追と神田の3人は折り重なってみちみちになっていた。
「!?」
3人は目を白黒させた。何が何だか分からない。神田は状況を把握しようと手を伸ばした。しかし
「あいでっ!ちょっ、神田くん殴らないで!」
「え、ごめんなさい!狭っ、」
「何!?どういう事…待って、俺浮いてるんだけど!」
どうやら3人はロッカー程の狭い箱に閉じ込められたらしい。
さっきまで並んで張り紙を眺めていた所をそのまま箱詰めになったので、夢追の胸板と神田の胸板に挟まれたAが少し宙に浮いている。
おろしてよ!ともちもち揺れると、2人ができるだけ離れてくれて隙間ができる。
とす、と足が床につくとAはふー、と息をつく。
「もー、お前らデカくね?」
俺にも分けてよ!とブツクサ膨れるAを他所に、頭1つ分背の高い夢追と神田は2人で顔を見合わせた。これは、ちょっと不味い状況ではないか?と、言葉にはせずアイコンタクトをする。
幸い、Aのピアスや角、羽がぼんやりとピンク色に発光しており光源は確保出来ていた。暗闇の中で艶めかしい桃色が3人の輪郭線をなぞる。異様な雰囲気だった。
夢追は結構冷静に、顎に手を当てて考える。
恐らく、先程のサイレンが関係しているのは確かだろう。その証拠にこの箱に閉じ込められてからはかの音は聞こえなくなっていた。となると、新スタジオの建設、日時、同じフロア…と推理を重ねていく。
もう片方の手に何かくにくにした物が当たり、考え事ついでに弄びつつ、思考を巡らせていった。
そして1つ、結論にたどり着く。
「あー、わかったかも」
「えマジすか…!」
Aの頭越しに、夢追は神田の目を見て結論を話し出す。神田の顔が少し辛そうに歪んでいるのには、暗くて気が付かなかった。
「多分、これさっきまで僕らがいた休憩室だ」
コンコン、とすぐ側にある壁をノックする。
神田が?という顔をすると、夢追は続けた。
「多分、新しいフロアを生み出すのに巻き込まれたんだ。フロア制作って安全面を考慮して、いつもは廊下にいれば巻き込まれないじゃん?でも、今回僕らは急拵えの休憩室にいた。廊下の加護下になかったんだよ」
「成程…」
「でも、一応僕らを傷つけないようにシステムは動くから、休憩室は箱型になったんだ。新フロアの“上書き保存”から僕らを守るために…」
ぞっとしない話であるが、しかし確かに筋は通る。3人は狭い箱に守られたのだった。
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あい(プロフ) - 温帯亭気圧さん» ありがとうございます!誤字ってました…恥ずかしい… (1月5日 21時) (レス) id: 77eb95d78f (このIDを非表示/違反報告)
温帯亭気圧(プロフ) - あいさん» リクエストありがとうございます〜!ちゃんと話を繋いで出来上がるまで少々お待ちください!ご心配もありがとうございます😌 (1月5日 19時) (レス) id: c0418335ef (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - リクエスト失礼します。本社で迷子になってしまっているところをymoiとkndに保護される内容を書いて欲しいです。最後になってしまいますが、いつも楽しく読んで頂かせています。大変なことが多々起こりますが、これからも体調に気をつけて元気に生活費して下さい。 (1月5日 10時) (レス) @page9 id: 77eb95d78f (このIDを非表示/違反報告)
温帯亭気圧(プロフ) - 雨さん» めちゃくちゃ嬉しいです!ありがとうございます😭 (9月9日 22時) (レス) id: c0418335ef (このIDを非表示/違反報告)
雨 - めっちゃ好きです!!!!! (9月7日 12時) (レス) id: 20d3cc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:温帯亭気圧 | 作成日時:2023年7月7日 22時