イケホスの皆様 ページ11
やわらかな金髪にミステリアスな糸目、ラフな格好が親しみを感じる、優しげな声色で声をかけてきた青年は神田笑一というらしかった。
「えー!迷子!大変じゃん。そっか、外部の人ってゆがみん使えないのか…」
「ゆがみん?」
「そそ、転送とか案内とか身代わりとかやってくれるマスコットみたいなやつ。ライバーは皆に配布されてるの」
神田はAの向かいのベンチに、自分もジュースを買って飲みながら座る。
初対面だが、お互いのラフな雰囲気が噛み合って案外早く打ち解けていた。
雑談ついでに夢追が神田に水を向ける。
「神田くんは収録?」
「そそ、次のボイス撮ってきた。あと歌の練習しよと思って、山行ってきた」
「山!?」
「ほら、ましろくんとかがよく使う山。体力作りながら大声で歌っても誰の迷惑にもならない素晴らしい場所!」
「神田くんてアウトドア派だよなあ……」
感心したように零れた言葉に神田ははにかんで頷く。「まあストレス発散の面もありますけど」と頭の後ろを掻く。
2人の気の知れた様子にAはウンウン頷きながら、一生懸命エナドリを飲み干した。
その時
ビー!ビー!
「なになに!?」「は!?」「うわびっくりした」
けたたましいサイレンの音が廊下に鳴り響いた。
RGBの色を順繰り回るように蛍光灯の光が変わる。3人の肌の上に落ちる光が変わっていると言うより、その場自体の色調を弄られているような感じだ。
Aがびっくりして固まっているのを横目に、夢追はすぐに見当をつけていた。
その考えが正しいなら……とガバ!と立ち上がり長い足で壁沿いに部屋を見回す。そしてその予想通りの物を見つけ、ベンチに縮こまっている2人にそれを見せた。
「なにこれ、張り紙?」
「そう、この階層で新しいフロアを生み出すよ〜の告知だね。今日だったんだ、びっくりした」
「なるほど、じゃあ関係ないか。あー、びっくりしたわ」
目をぱちくりさせるAを他所に、夢追と神田は胸を撫で下ろした。
大規模なフロアを作る時は、ライバーやスタッフを巻き込んだ事故にならないように事前告知がされる。確かにそんな通知が来ていたような気もする。
夢追はそのフロア制作を真横で見ていた事もあった。まあしかしフロアの外で目撃するのは初めてだったので、こんなに大きなサイレンが鳴るとは知らなかったが。
「じゃあ大丈夫なんだな!ビビったよほんと」
Aもあんまり分かってないが一緒に安心する。しかしサイレンは鳴り止まない。
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あい(プロフ) - 温帯亭気圧さん» ありがとうございます!誤字ってました…恥ずかしい… (1月5日 21時) (レス) id: 77eb95d78f (このIDを非表示/違反報告)
温帯亭気圧(プロフ) - あいさん» リクエストありがとうございます〜!ちゃんと話を繋いで出来上がるまで少々お待ちください!ご心配もありがとうございます😌 (1月5日 19時) (レス) id: c0418335ef (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - リクエスト失礼します。本社で迷子になってしまっているところをymoiとkndに保護される内容を書いて欲しいです。最後になってしまいますが、いつも楽しく読んで頂かせています。大変なことが多々起こりますが、これからも体調に気をつけて元気に生活費して下さい。 (1月5日 10時) (レス) @page9 id: 77eb95d78f (このIDを非表示/違反報告)
温帯亭気圧(プロフ) - 雨さん» めちゃくちゃ嬉しいです!ありがとうございます😭 (9月9日 22時) (レス) id: c0418335ef (このIDを非表示/違反報告)
雨 - めっちゃ好きです!!!!! (9月7日 12時) (レス) id: 20d3cc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:温帯亭気圧 | 作成日時:2023年7月7日 22時