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乙骨憂太「夢、見てた?」
「......見たなぁ。ずっと昔、死者も出るぐらい喧嘩したんだ。夏油家に借金を負わせて、老夫婦をショック死させよう大作戦。後の借金は私が返済してやる、というか私が借金したものだから。そう説明してるのに、傑は当主の座を拒んだ。」
乙骨憂太「うわっ、昔から怖い人だった...」
「傑を一般人として生かす道が良かったな。喧嘩してるときは互いに楽しんでいたけど......もう少しだけ尊重すればよかった。」
乙骨憂太「...それでも前を向いて、進むしかないよ。大丈夫だから。」
「なんで言い切れる。」
乙骨憂太「親友の縁ってね、そう簡単に切れるものじゃないんだよ。死んだ後でさえ、その繋がりは切れないんだから。」
「......具体的には?」
乙骨憂太「お前も起きろよって、そう言うと魂はその声に呼応した。とうの昔に道を違えたのに、死んだのに、親友の言葉だけがその魂を覚ましたんだ。実話だよ、これ。」
「あっそ。後は頼んだ、憂太。」
乙骨憂太「うん。君もちゃんと休んでね。」
「傑。」
夏油傑「は?なに。」
お前、死んだら全部忘れる?
夏油傑「そんなわけないだろ。私はずっと、悪ガキな親友の事を忘れないよ。この憎しみが失せないように、君の事をずっと愛している。」
傑、傑、傑。
「ごめんなぁ...お前と一緒に、遠くに逃げりゃよかったなぁ...」
後悔しても過去には戻れず、後悔しても親友の死は取り消されず。
人がいなくなった船の中で、私はちょっとだけ泣いてみたり。
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作者名:琲世 | 作成日時:2022年2月10日 21時