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悪人を裁き、世界から犯罪を根絶する。それはとても素晴らしいことかもって、時々考える自分がいる。
でも脳裏にこびりつくのは、名前のない一人の同級生だった。僕が持っていた何かを取り上げ、川に捨てようとした誰かだ。何かを見て、怯えて......そこからが思い出せない。
とにかく、あの同級生のことを想うと、どうしても人は神になってはいけない気がしたんだ。
夜神「なれない、なってはいけない。例えどんな力を手にしても、それをただの自己満足に使ったなら終わりなんだ。人のまま生きている方が幸せだよ。」
キリシュタリア「......なるほど。君と似たような人を知っているよ。悪を裁き、善のみが存在する世界を造り上げた王様の話だ。でもそういう行為には、必ずミスがある。王様は怪我をしただけの生物も、その世界から消してしまったんだ。その人に関する記憶すらも奪った。」
夜神「記憶すら...」
キリシュタリア「月、どうか自分が変わっても忘れないでほしい。人は神様にはなれないことを、なってはいけないことを。君が言ったことを、絶対に忘れないでくれ。......私も今なら言えるよ。神様になって正解に辿り着けても、そこからは何も学べない無の存在になるんだってことを。」
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作者名:琲世 | 作成日時:2021年12月5日 16時