きっと、とても大切な人 ページ31
マシュ｢っ...先輩、ご無事ですか！？｣
藤丸｢なんとか...！｣
盟友｢...｣
ずっと金属音が煩かった。私はただ怯えて此処にいるだけ、何もできない。だって何も使えない。戦えない。知らないあの人たちを救うのは無理な話なの。
盟友｢弱すぎる。この程度で私に勝てるって思ってたの？｣
藤丸｢...勝てる。｣
盟友｢その傲慢さは高く評価するけどさぁ...肝心の先輩ちゃんは壊れてるよ？壊れたものを捨てるのが汎人類史のやり方じゃなかったっけ。だから親にも捨てられたんでしょ、そこのマスターちゃんは。｣
紙屋｢お前...！｣
私は今、何をしているんだっけ。
部屋の中で怯えていて、必死に魔術を勉強して...突然、部屋の中に、知らない人たちが
｢......だ、め｣
荒らさないで。いいえ、それ以前に。
｢血を流さないで！！！！！｣
マシュ｢きゃっ！？｣
盟友｢羽...！？｣
いけない、いけない。殺してはダメ。お願いします。この目も耳も捧げますから、どうか彼らを傷付けないでください。彼らはきっと、私にとって大切な存在なんです。
親に殴られる以上に、私は誰かが傷つくのを見てはいられないのです。
｢掴まって。｣
マシュ｢え...は、はい！｣
盟友｢足枷もあるのに...どうやって能力を...いいえ、そんなことはどうでもいい！その羽を裂いてでも邪魔者には消えてもらう！！！｣
カエデ｢させないに決まっているでしょう...ッ！｣
盟友｢...！｣
どうか、どうか。
｢転移！！！｣
藤丸｢...｣
『位置が変わった...みんな無事かい！？』
藤丸｢はい...どこかの雪山に...ッ！先輩、目が...ダ・ヴィンチちゃん！Aの両目が潰れている！｣
紙屋｢ごめん...もう動かなくていいから！今度こそ俺たちが守るから！！！｣
｢...掴まっ、て。君たちを...暖かい場所に連れていく。わたし、かみさま、だから。｣
藤丸｢もうやめてくれ！！！...もっと頑張るから...もう...｣
｢がんばる。だって、まだ、おんを、かえせてない。｣
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作者名：琲世 | 作成日時：2021年10月20日 0時
