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「...おはよう、皆。」
藤丸「もう夕方だけどね。...ようやく明日から一緒に」
「その件なんだけど、最後の世界まで動けなくなったんだ。サプライズで教えてあげたいから、内容は秘密ってことで。」
オベロン「そろそろ行くぞ、マスター。」
「...また今度会おうね。ロマニにも秘密にしておくんだよ?叱られるのは嫌だからさ。」
マシュ「は、はい...先輩、どうか気を付けてくださいね。五度目の世界を迎えたら、必ず皆で迎えに行きますから。」
僕の姉、いつも優しくしてくれた人。
早く会いたい。贖罪の方法なんて、僕達には分からないよ。ただ君と静かに暮らしていたいだけなのに。
ライブだって...まだ見せれてない。
藤丸「こんにちは、英智さん。」
英智「...響子は...」
紙屋「腹を痛めてトイレに走ってたぞ。」
英智「そうか...君達にも見せてあげたかったよ、彼女からの大切な贈り物を。」
時計の針は静かに進む。視界も安定しないこんな体じゃ、止まっているようにしか見えないけど。
英智「...そうだ。僕はもう戦えないから...誰か、彼女を操る誰かを殺してくれないか。」
藤丸「...殺す?」
英智「ああ...話し合いなんて温いことをしたら、今度こそ姉を失ってしまう。蘇生の手段なんてとうに尽きた、とうに探すことを諦めた。女神という存在を、この刀で斬り殺してほしいんだ。」
じきに寿命も尽きる。莉愛さんには悪いけど、僕はもう歌うことも踊ることもできない。
...せめて、死ぬ前に叱られたい。こんな情けない自分を叱ってほしい。
英智「僕は元々、病弱な一般人でね。退院しては高校に通い、アイドルという存在のために革命まで起こした。...皇帝なんて呼ばれて、大層な役目を背負いながら大人になった。成り行きなんだよ、こうして血を流すことを選んでしまったのは。」
サンソン「...そんな」
英智「気持ち悪いだろう?僕は血も繋がらない姉に惚れたから、戦うことを選んだんだ。彼女と出会ったという成り行きで、人を殺し続けたんだ。こんな僕には、女神を殺すための綺麗な心なんて宿ってない。」
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作者名:琲世 | 作成日時:2021年9月4日 19時