見果てぬ夢 (ページ9)

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相交わる愛おしさ(緑) ページ9

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『愛居れぬ食い違い』続

「お疲れ！」
「お疲れ様。今日は早かったね？」
「そう、急いで終わらせたねん。」

彼が本社に異動して来てから1ヶ月

その人柄のせいか、すっかり慣れてしまったようで大事な仕事を任せてもらったと聞いた。それがようやく落ち着いたらしい。

「甘いのがええ？色々買ってきたんやけど。」
「…多いね。」
「何が好きか聞いてへんかったから。」

ニコニコと持ち上げた袋には異常な量のお酒が入っていた。たまに彼の普通がおかしいと思う。この間もお菓子を頼んだら、食べきれないくらいの量だった。

まぁ、余った分は持って帰ってもらおう。

「お邪魔しまーす！」
「どうぞ。」

お疲れ会という名の宅飲み。
彼の希望ということもあって、私もすんなり受け入れた。

彼は優しい。付き合う前の印象が今も変わることはなく、ささやかな幸せを楽しめるこの関係が好きだったりする。
こうやって目の前で自分の作った料理を「美味しい」と言ってもらえるだけで、私は十分だから。

「…ん？どうしたん？」
「ううん。何でもない。」
「なになに、教えてや〜」

「幸せだなぁ、って思っただけ。」
「…俺も幸せやで。」

この関係が好きだな、と思う。