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お酒はそこそこ強い方。
どちらかというと先輩の方が酔いでヘラヘラしてる帰り道。
外じゃあんまり繋いでくれない手が触れて、酔ったフリをして握った。先輩は何も気にしてない様子で握り返した。
やっぱりこの関係は良いものじゃない。
「なんで今日は俺の隣おらんかったん。」
「たまたまですよ。」
「なんか怒ってるん?」
「怒ってるように見えます?」
「いつもとちゃうやん。」
「成美先輩と楽しそうやったから嫉妬、みたいな?」
「へぇ、可愛いやん。」
いつまでこうしていられるのか。
私には分からないから、出来るだけ長く続くように"可愛い後輩"を演じることに決めた。
それなのに。
「…泣いてるん?」
幸せじゃないと思ってしまうのは、どうしてなんだろう。
叶わないと分かっていたのに悲しくなるのは。
「…目にゴミ入った、みたいです。」
「こっち向いて。見たるから。」
近づいた顔に"やっぱイケメンやん"なんて思った時には
唇が塞がれてた。
離れて、近づいて、
それが何度も。
「…好きやで。」
その言葉が信じられなくなってる自分が嫌やった。
一番に浮かんだ感情も。
「それ、何に対してなん。
顔?それとも都合のいい関係?」
目を見開いたその顔を見て、やってしまったと気付いた。
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作者名:ユキ | 作成日時:2022年9月25日 17時