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「俺ら、お疲れ様〜」
「お疲れ様。」
2人で生ビールのジョッキをぶつけ合う。
クリスマスに居酒屋なんてムードがないけれど、
それより"仕事終わり"という気持ちが大きいので良しとする。
「クリぼっち回避や。」
「西畑くん気にするタイプなんや。」
「するねん。俺の周り彼女持ちばっかやし、連絡しても相手してもらえへん。」
あぁ、聞いたことある。
西畑くんと仲良しな人といえば、
ファンクラブがあると噂のイケメン、永瀬くんと
どんな女子も落とされると有名な正門くん。
2人とも彼女がいると言われれば納得がいく。
とはいえ、
「西畑くん、モテるやろ?」
入社してから彼が何度か告白されているのを見たことがあった。告白は受けない主義なんだろうか。単純に恋愛に興味がないのだと思っていたけれど。
「んー、俺、好きな子にはモテへんねん。」
「好きな子おるんや。」
「まぁな、」
顔を赤くした彼が、自嘲するように笑った。
この話を初めて聞いたのは、彼が酔っているせいなのだろう。
聞かれたくないこともあるだろう。
そう思って、ジョッキに伸びた彼の手を止めた。
「西畑くん、もうそろそろ帰らん?」
「…俺といるの嫌なん?」
「そうじゃなくて、」
「知ってるで。Aちゃんがそういう子じゃないってこと。心配かけてごめんな。」
その目が寂しそうだと思った。
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作者名:ユキ | 作成日時:2022年9月25日 17時