見果てぬ夢 (ページ26)

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「Aちゃんやんな？」
「高橋くん、久しぶり。」

あの可愛い彼女とどうなったかとか、高校卒業してから何をしてたとか、

私は何も知らない。知ろうとしなかった。
蓋をしたこの気持ちがまた溢れてしまわないようにと必死で。

「この辺に住んでんの？」
「うん。職場がこの近くやから。」
「AちゃんのことやからカッコイイOLとかしてるんやろ。」

「そんな風に見えるん？」

話してみたら元に戻ったようで嬉しかった。
彼の天然に笑って、気付けば心も明るくなってて。
あの頃と変わっていないのだと実感して。

「高校の時から思ってたで。みんなに優しくて、頑張ってる子やなって。」

「そう思ってくれてたんや。」

「てか、そのメイク可愛いな。」

思わず胸が高鳴る。
高校を卒業してから変えようと頑張った見た目も考え方もようやく当たり前になってきたというのに。
平然を装えないところが、私の成長していない部分だった。

「…ありがとう。」

「好きな人でもおるん？」