見果てぬ夢 (ページ22)

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「どっちが可愛いと思う？」
「…どっちも可愛いんちゃう。」

女性が多いお店。
何となく想像していたはずなのに、到着してすぐコスメ売り場へ歩いていった彼に一瞬驚いた。

例えば食べ物だとか小物とかなら「こっちの方が良い」とリアクションできるのに。
この手のものになると相手に依るものがある。というか、私はこの手の話題に疎い。

「Aちゃんならどっちが使いやすい？」
「こっち、かな。」

指したのはどちらかというと目立たない色。
地味だと思われた？ちらりと彼の表情を見ると、悩んでいるようだった。

口出しできるほどの立場ではない私は、その横顔をぼーっと眺める。

きっと彼はこんな話題で盛り上がれるような可愛い子が好きなんだろうな、とか。別に恋をしてる訳では無いのに。

そしていつも、自分で作りあげた架空の人物に負けたような気持ちになる。

「お待たせ。付き合ってくれてありがとう。」
「…買わんの？」

「イメージしてたの無かったし。」

何となく、変な空気にしてしまったなと思った。