見果てぬ夢 (ページ19)

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「食べたいの全部買えた？」
「うん。駿佑は？」
「んー、たこ焼き買おかな。」

「…さっき通り過ぎたで。」
「嘘やん！気付かんかった。」

高校の文化祭
特に一緒に回る約束はしてなかったというのに
彼は当たり前のようにうちのクラスの前にいた。

「A行こ。」

何故か友達には"付き合っている"と噂されていたし、
駿佑もそれを否定したりしなかった。

私はただ何となく、その関係が心地良いと思っていた。
彼氏が出来た友達の話を聞く度に羨ましいという気持ちはあったけれど"恋をしたい"と思ったことは無かった。

何となく、彼氏にするなら駿佑がいいな、とだけ。

「さっきコットンキャンディーって書いてあったんやけど、コットンキャンディーって何？」

「わたあめちゃうの？」
「かき氷みたいなん持ってたけどなぁ。」
「そうなん？私に聞かれても分からんわ。」

「後で見に行こ。」

ただ私は女子にしては流行に疎いし、
可愛らしいキャラクターでもない。

だから駿佑にはそんな気持ちは無いのだと思っていた。

「Aのこと好きやねん。」

嬉しかったのに、困った。
こんな私のことだから同学年のカップルのようになれるとは思えなかったし、しばらく同じような日々を過ごして。

気付けば好き同士になっていた。