見果てぬ夢 (ページ12)

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「おはよ。」
「…痛い。」

起きたら、いつも通りの彼がいた。
昨日のあれは何だったのか。
二重人格？思わずじっと見つめる。

「どうしたん？…あ、動けへん？昨日、止められんくてごめんな。」

「覚えてるの？」

「え？当たり前やん。俺酔わへんし。…あ、」

やっぱり酔わない、よね？
あれ？

「…ごめん。酔ったフリ、した。」
「やっぱり酔ってなかったんだ。」
「気付いてた？」
「おかしいなって思ってた。」

照れくさそうに笑っていても、恐ろしいなと思う。
こんな優しそうな顔して意外と策士なんだもの。

「酔った勢いってことにしたら許されるかなって思って。」

「そんな顔してもダメです。」
「ごめんやん、許してや〜」

嫉妬も弱さも、普段は顔に出さない彼が私にだけ気を許してくれているというなら嬉しいと思う。なら、たまの我儘くらい聞いてあげるから。

「次からは、こんなことしないで素直に言ってね。」
「…ありがとう。」

無理するくらいなら、全てを見せ合うことの方が楽だと思う。私はそんな関係を彼と築いていきたい。

「今日も、」
「今日は無理。本当に身体動かなくなる。」
「…それはあかんな。」
「また今度ね。」

「じゃあ、キスだけ。」

…残念ながら、彼には勝てないけれど。