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「……え?」
久しぶりに大学へと足を運び、
テニスサークルを覗くと、そこには赤也がいたので、打ち合いをすることになった。
俺の試合の話とか、
ほかの立海メンバーの話とか。
色々と募る話があったけれど、
赤也には一つ言っておきたいことがあった。
「…っは、あ〜やっぱ部長強すぎっスよ〜!!」
「ふふ、赤也、随分と強くなったね。
でも、俺に勝つのはまだ早いよ。」
アクエリアスを口に流し込んで、
ベンチに大の字になって寝転ぶ赤也は、
体に溜まった熱を逃がそうと服を仰いでいる。
「赤也。」
「ん?なんスか?」
ジリジリと照り続ける太陽の熱は、
まだ五月とは信じられないくらいに暑い。
頬を流れる汗を拭って、言葉を続ける。
「俺、結婚するんだ。」
一瞬目を見開いた赤也は、
すぐに戸惑った表情に切り替わる。
そして、何かを思いついたのか、
少し間があってから「おめでとうございます。」と、祝の言葉をもらった。
「なんか赤也、反応がイマイチだなあ…」
「や!別におめでたくないとか、そんなこと思ってないっスよ?!
ただ、部長もようやくか、、て!!」
そんな反応が出るなんて本当に傷つくなあ。
本当に?という視線を向ければ全力で頷く赤也に笑が零れる。
「部長、所で結婚て誰とっスか?」
赤也はわざと聞いているのかと思ってしまった。
赤也は俺と皐の関係を知っている。
なのに、「誰と結婚?」
まさか赤也、別れたと思ってるのかい?
「赤也、それ本気で言ってるのかい?」
「え?だって、」
赤也は頭を抱えている。
本当に誰かわからないんだ。
忘れた。なんて知ったら、
皐がなんて言うか。こっ酷く叱られるだろう。
「皐だよ、高校の時から付き合ってた。
忘れたのかい?赤也。」
「……え?」
そして、冒頭へと至る。
ため息混じりにそう言えば、
赤也は目を瞬かせ、固まってしまった。
何をそんなに驚く理由があるって言うんだ。
俺は彼女とは確かに言い合いをしていたが、仲は良かった、別れるなんて話は出たことは無い。
「え、あれ、、?部長」
その時、ピリリリと携帯が音をあげた。
鳴ったのは赤也の携帯だ。
「あ、柳先輩…」
ちょっと出てきます!その場を離れようとする彼に
俺は帰るからいいよ、と手だけ振りコートに背を向けて歩き出す。
「赤也、どうしたんだろうか。」
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