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｢今、一部で噂になっている｢太陽の街｣
という街は存在するのかすら怪しい場所なのは知っているな？｣
柳は白紙にペンを滑らせる。
柳自身が知る、その街の情報を箇条書きで書いていく。
明るい表情でペンの動きを見る幸村と、
浮かない顔をする丸井。
｢｢太陽の街｣には破っては行けない約束がある。
それは、俺のデーター上ではわからない。
インターネットで検索しても出てこない。
そもそも、あの街の情報は無いに等しい。｣
｢じゃあ、なんで噂が…？｣
｢そう、じゃあ何故噂は広まったと思う？｣
小首を傾げる幸村。
そんな幸村を見て、フッと笑うと、柳は椅子から立ち上がった。
浮かない顔をする丸井の腕を取り、
｢時間だ。｣と、早足で片付け始める。
｢え？蓮二？｣
｢すまない精市、先約があるからこれで失礼する。｣
待って、と掴もうとして伸びた腕は
軽く払われてしまう。
来た時のテンションとは真逆の丸井は、
目だけこちらに合わせると、口パクで柳に分からないように幸村へと伝えた。
バタン、と扉が閉まり
部屋に残された幸村は玄関先にある時計を確認する。
『幸村くんは知らなくていいよ。』
動いた唇は、確かにそう言っていたのだ。
丸井は、恐らく柳よりも何かを知っている。
だから、きっと浮かない顔をしていたのだろう。
｢破ってはいけない約束は、なんだろうか。｣
扉の向こうには、
まだ、柳と丸井が立ち尽くしていた。
柳は丸井に背を向け、丸井も同じ様に背を向けて
お互い一言も言葉を発さずにいた。
｢…丸井、余計なことはするな。｣
沈黙を先に破ったのは柳。
丸井の方を向き、刺すような鋭い視線で振り返ろうとしない彼に言葉を投げる。
｢俺は別に、何もしてねえよ。｣
ただ、幸村くんには笑っていて欲しいだけ。
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