*～箱～*〈約ネバ〉 (ページ36)

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幸せそうな笑顔の彩花が私の部屋にやってきて、そして部屋の扉をしめ、鍵をかけた

『どうしたの？彩花』

彩花「どう？この世界。セラの望んだ平和な世界。自分も、家族も、命の危険にさらされない。満足した？」

『え？何を言い出すの？彩花』

突然、頭痛が襲う

頭がおかしくなる

頭と耳を押さえる

聞きたくない

彩花の言葉を

彩花「もう、わからなくなってきているのね」

この先は、聞いてはいけない

聞けばこの日常が消える

彩花「まぁ、私はそれでもいいんだけど」

壊れる

崩れる

崩壊する

どこからかそんな考えがうかぶ

だが、私には何もできない

動けない

声がでない

彩花「セラはやっと望んでくれた。願ってくれた。私はやっとセラの力になれた。嬉しいよ」

自分でもはっきりわかるほど、心拍数があがる

彩花の言葉がじっくりと体に入っていくような錯覚をおぼえる

彩花「私は、アヤは本当に嬉しいよ。幸せだよ。セラにも幸せになってほしいんだよ。こんなニセモノの、私がつくりだした家族の中でもいい、幸せになってほしい。」

体の全てが震えて声がでない

声を出せない

彩花「箱を、"特別な箱"を使ってくれてありがとう」

彩花のその笑みは明るく、どこまでも透き通って、純粋で、美しくみえた

それに、恐怖を感じると気付くまで、時間がかかった

明るさの裏の、影に隠れた何かへの恐怖

それに縛られるような感覚

言葉にならなかった

震えがとまらなかった

怖かった

苦しかった

彩花「________」

見たことのないような笑顔の彩花の言葉は、聞こえなかった