14話 ページ14
おどおどしていると何処かからぐい、と手を引かれた。
誰だろう。何処かに連れていかれるのかな。
脳内が疑問で埋め尽くされるがあの収集のつかない場所から出られただけでもよかった…と思いされるがままに引きずられていく。
人目のつかない所まで連れてこられた。流石にこれ以上は何かあってから危ないと思い引っ張った人に声を掛ける
「あ、ありがとう!もうここで大丈夫だから!それ、じゃ…………あ」
手を引かれた人が振り向くと少し怪訝そうに口を開く。
「お前なぁ…ここ何処か分かってんのか?お前等みてぇな奴が1人でのこのこ来ていいような場所じゃねぇんだよ。」
「ご、ごめん…」
ギルベルトくん
私を心配して言ってくれてる事は分かってるけど、
今までに無い強い口調で言われると知らない人みたいで、少し怖くなって下を向いた。
何故か泣きそうになる。
心配かけたかな、
呆れられたかな、
嫌われたかな、
会いに来る為なんて、
なんて思われたかな。
「おい」
怖くて目の前が見れない。
どんな顔されるんだろう。まだ意識さえしてもらえて無いのに。
来なければよかった。図書室で会えるだけでよかったのに何やってるんだろう。
頭の中がごちゃごちゃになって視界がぼやけていく。
かっこ悪い。
全部最初からやり直したくなる。
足元に水滴が落ちていく。
かっこ悪いよ、本当に。
止まってほしいのに休む間もなく目から溢れては地面を濡らす。
さっきの状況よりこっちの方がよっぽど収集がつかないじゃないか。
こんな顔で上を向けないし、相手がどんな顔してるかも見たくない。
「拗ねてんじゃねえ、顔上げろ。」
「………………すねて、ない。」
鼻を啜って声を絞り出す。
「思いっきり拗ねてんじゃねぇか。
めんどくせえな」
「…っ、」
分かってるよ言われなくたって。
心臓が痛い。
目の前が違う人ならよかった。本当にやり直したい。今すぐにでも逃げ出したい。
何処から出ているのか分からない涙がとめどなく溢れる
目の前の影がゆっくりと伸びてきた。
「!」
不意に、頭に手を置かれた。
思わず上を見上げると
呆れたような、楽しんでいるような、
愛おしむような、
「本当、めんどくせーよ、お前。」
そんな笑い方。
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作者名:夢々煙 | 作成日時:2017年10月15日 20時