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「ヘチャン？どこ行くの、？」
楽屋を通り過ぎて二つ先の扉を開ける。
ヌナを先に部屋に入れて後ろ手に鍵を閉める。
マネヒョンが荷物置きに借りたって言ってたから誰にも迷惑はかからないはず。
一歩近づけば一歩下がるヌナが面白い。
「後ろはもう壁だよ」
それ以上下がれなくなったヌナの背中が壁にぶつかる。
「Aちゃん、どうしてちゃんと断れないの？」
なるべく怖がらせないように、笑顔のつもりだけど笑えてるかな。俺。
「断ろうとはした、よ？」
「あれで？」
もう全然ダメだ。絶対笑えてない。
「怒ってる？」
「怒ってなくはないけど」
「呆れてる？」
「呆れてはないよ」
「…ちゃんと断れなくてごめんなさい」
「…許す♡」
眉毛を下げて、俺の顔を覗き込むAちゃんが可愛過ぎて。
「Aちゃんは色白の人好きじゃないもんね？」
「ん、？あ、うん？」
「年上より年下でしょ？」
「うん」
「身長だって、俺ぐらいがちょうど良いんだよね？」
「ふふ、うん」
すっかり笑顔になったAちゃんをぎゅーっと抱きしめる。
あわよくば俺の香水がAちゃんにも移って、ちょっとでも男除けになりますように。
あ、Aちゃんの誕生日は何か身につけるものにしよう。
「じゃ、戻ろっか」
体を離して部屋を出ようと手を引けば、くっと引っ張られる感覚。唇にはちゅっと柔らかい感触。
「助けてくれてありがとう」
恥ずかしそうに笑う姿にもう頭を抱えるしかない。
「本当に…はぁ、」
「何かだめだった！？」
「帰ろう。今すぐAちゃんの家に帰ろう」
「いや、私まだ仕事が、」
「今すぐ家でぎゅーしてチューして離したくない！」
「もう、戻るよ！！」
俺の腕を振り払って部屋を出たAちゃんを追いかける。
あんな可愛いがぎゅっとなったヌナ、これからどうやって守るかDREAMを巻き込んで作戦会議だな。
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作者名：メリッサ | 作成日時：2022年8月3日 20時
