今こそキスのタイミング (ページ18)

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「ヘチャンのメイクに時間がかからない理由教えてあげようか」

いつもはヘチャンがくっついてくるから私から抱きしめることってあんまりないかも。と心の中で考えながら肩に顎を乗せる。

「ヘチャンの顔はずーっと見てるからだよ」
「どういうこと？」
「ヘちゃんの顔はどうメイクすれば一番かっこよくなるかわかってるから、あんまり考えなくていいの」
「なにそれー？」

さっきまでとは打って変わって、ご機嫌になったヘチャンが振り返る。

「なんで俺の顔良く見てるの？」

答えなんてわかりきっているのに、ルンルンで聞いてくるヘチャンがかわいくて乗ってあげる。

「ヘチャンのことが大好きだからだよ」
そう答えた途端、私に全体重を預けてくるもんだから「わぁっ」っと体がソファーに沈む。

ヘチャンは私への愛情表現を１２０％くれていたのに、私はあまり表現できていなかったかもしれない。

今までの分をお返しすようにぎゅうっと抱きしめ返す。

「Aちゃん、ずるい」
「なんで？」

少し離れたヘチャンはわたしの顔中にキスを落としてくる。

「俺ばっかり好きみたい」

そういった顔はやっぱり少し寂しそうで。

「伝わってなかったならごめん。でも大好きだよ」

私からキスしたのなんてか片手で数えられるくらいかもしれない。

少し恥ずかしい気持ちをぐっと押し殺して唇を合わせれば幸せそうなヘチャンの顔。

「これからはもっと伝えるようにするね」

もう一度ヘチャンの唇に自分の唇を重ねた。