ReRe □ ReReRe ページ9
僕は目を覚ました。
寝ぼけたひとみを擦ってベットからのっそりと起き上がる。
臙脂色のカーテンを開けるとステンドグラス越しに朝の眩しい光が差し込んだ。まるで学園の動く絵画のような太陽の輝きは雲間から光のベールを発し、天使でも降りてきそうな美しさだ。
強い光に思わず目元に手で廂をつくった。
鳥は鳴き、空は青く、空気も澄んでいた。
今日も変わらない、素晴らしい日…
「素晴らしい日…っじゃねぇーーーよ!!!!!!!Hoooly Shiiit!!」
朝日に向かって中指立てて、下品に吠えるが太陽はすまし顔だ。マジで一人部屋で良かった。
もう一度、携帯をぐわしと掴んで画面を見る。想像通り僕が一週間遅れて入学してから丁度一月たった日。つまり今日は三回目の今日だ。
そして壁掛けの制服のポケットに掴みかかり、懐中時計をガバリと取り出す。
絶対これのせいだ。
ゑ?真ん中一回だとフリーズ、二連続で押すとリセットってこと?そうだよね?
よし。もう一回だ。
意を決してもう一度ダブルクリックするように、二連続で押した。当然、壁掛けの制服の中にある魔法石は光った。
□
僕は目を覚ました。
あー…ね。やっぱ…ね。もう認めましょう。あれは魔法具です。そして二回押すと朝になります。
そしてこの状況を受け入れると頭がスっと冴えて行き、怒りとはまた別の感情が湧き出てきた。
オイオイオイ…。そう思いながらベットの上でゆっくりと縮こまった。
「くっっそ便利やんけ。くっっっそ便利やんけ〜〜!よっしゃ勝ち組バンザイ最高潮!!!!」
一応NRC生だった僕は、浅慮にも心からそう思った。
さっさと制服に着替えて、三時間目前の移動教室ではフロイド君(一方的な親近感)を見つけ、昼食の後の授業では予想通り学園長が抜き打ちで見学しに来た。
全く同じ授業を何回も受けていると、やはりこれは夢でなく、変わらない現実を繰り返しているんだな。と実感した上に、なんだか手際まで上がってきたような気さえした。
3回も同じ錬金術の単元をやると、さすがにどれだけ苦手でも手順くらい覚える。珍しくもクルーウェル先生からも"グッボーイ"宣告を貰ったし。
"今日"はいい日だ。どの"今日"かと言うともちろん4回目の今日だが。
けど、今日はもう寝て一日を終わらせて早く明日を迎えたい。
死にかけたり、時が止まったり、時が戻ったり、無駄に忙しいのはもう勘弁。そう思った。
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サジャ(プロフ) - 毎回楽しみに見ています!作者様のペースでこれからも更新頑張ってください!毎回見ていてとても楽しいです! (2022年2月15日 0時) (レス) @page24 id: a6f9474135 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふねぬい | 作成日時:2022年2月6日 22時