【男主】トモダチ【ツイステ】 (ページ22)

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魅了ページ22

カツカツと図書館までの道を歩いていれば頭にのしかかる重圧。また肘置きにされている気がする。でも、友達だから満更でもないのが本当の心境。
「ね〜ぇ、ルブラちゃん？モストロラウンジ行こうよぉ」
なんか、こういうのって友達同士のスキンシップって言うんじゃない？！
そう、つまり、僕はクッソ浮かれている。けど、いつも(未来を知っているから)どんと構えて、ミステリアスで、クールで、どこか富貴な態度を崩す訳にはいかない。
「重いし、まだ開店時間じゃないだろ」
恐らくフロイドの腕であろうものを振りほどくと、無駄に長い手足はさらに僕の体に絡まった。恐らく絞められはしないが、抵抗すればするほど巻き付くので棒立ちになる。まるで底なし沼。
この前抵抗しまくったら冗談とノリでモチャモチャになった末に卍固めをされ、関節が外れるかと思った。あまりの痛さに何度も叫んだらすぐやめてくれたが…。
それからフロイドは力加減をしてくれているように感じる。なんか割れ物を扱われるような微妙な気持ち。
けど、場所を憚らずベタベタしてくるのはやめて欲しい。
「気安くべたべた触るなよ」
半目になって咎めたところで、僕が本気で言っていないことが分かっているのか、フロイドはまたニヤニヤしただけだった。
「そんなこと言っていいワケ？モストロラウンジの春の試作のデザート、いらないんだぁ」
賄いとして食べたくないの？作ったげるのに。

そう耳元で強調されると、旬の果物のコンポートの輝きや、上質なふわふわのスポンジの香り、きめ細かい生クリームの多幸感達が浮かんでは消えていく。
…食べたい。非常に食べたい。
僕は一時の複雑な感情と疲れた体に沁みる素晴らしいデザート達とを両天秤にかけ、どちらを優先するか考えたが、もう答えは決まっていた。

少し憎らしい笑顔をジトリと睨み、踵を返す。
結局僕がどんな態度をとるか分かっているはずなのに、フロイドはいつもある程度泳がせてくる。
それがさしづめ彼の手中に収められているようで少し愉快じゃない。僕が飛び降りた時みたいにいつも翻弄されていれば良いのに。とつくづく思う。

少し飛躍するが、その二階飛び降り事件からフロイドと僕の関係は変わった気がする。
フロイドの物理的な距離感は最初からバグっているが、精神的な面で前より深層に少し近づいた気もする。
けれど、元々多面性な彼のことを知れば知るほど知りたいことが多くなり、また遠のいてしまうことも殊だった。