【男主】トモダチ【ツイステ】 (ページ3)

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契機ページ3

ぶつかる=カツアゲかもしれないし、ぶつかる=死の場合もある。それは寮によってまちまちだ。つまり自身の運次第。寮ガチャと言っても差し障りない。
Oh, Jesus！！いや、最悪神様じゃなくてもいい！どうか、どうかぶつかる≠死であってくれ！

そう思考を巡らすこと約0.5秒。後ろに素早く飛び退いて相手と距離を取り顔をチラッと見れ…なかった。
なぜなら相手がすこぶる背が高かったから。見上げても見上げてもでっけぇのなんの。自販機よりでかい。しかも顔は柱の影で良く見えない。唯一わかったのは、黄金色と麴塵の瞳をした威圧感のあるヤバいヤツだってこと。
GOD IST TOT・神は死んだ…ついでに僕も死んだ。
力への意志なんてなかった。

そいつは僕の遥か頭上で機嫌が悪そうにユラユラ揺れた。ぶつかった相手も悪いし、そしてそいつの機嫌も悪いと言う二重苦。腕の腕章を見る限りオクタヴィネル寮らしい。圧倒的不利の悪条件。僕がやることなんて決まっている。そりゃもう、命乞いさ！！！

目の前のノッポは僕が行動をおこすよりももっと早く、僕が飛び退いた分大きな一歩を踏み、暗闇から一転して顔が顕になる。その顔を見て俺はピンと来た。
色違いの瞳、ターコイズブルーの髪の毛に、横にひと房黒い背びれのようにたれている髪。そして何より顔のバランスが非常にととのっていた。けどありえないくらい怖い。
こいつ…同学年のリーチ兄弟のやばい方…？いや、どっちだ？

恐怖で何も出来ないでいると、不意に自分の顔に手が伸ばされる。頭によぎったのは"死"について。無意識に口をついてでたのは震えた謝罪だった。
「ご、ごめんなさ…」
しかし、危害を加えられると思ったその手は俺に身体的な衝撃を与えることはなかった。先程まで暗かった視界が不意に明るくなる。そう、サングラスを外された。
「へー。こんな顔してんだ」
男、推測だが、フロイド・リーチはどこか興味無さげに僕の顔をしげしげと見つめ言い放った。なんならこのまま唾棄されそうな勢いだ。
しかし、不愉快そうだった顔は笑顔へと急に変貌し、その表情は都合のいい玩具を見つけたような子供みたいだった。何を考えているか分からない。
僕は暇つぶしに虐げられる未来を察知した。
「あはァ、弱っち〜〜。そんな怯えんなよ」
及び腰を見てそう言ったのか、それとも赤い瞳のことを言っているのか分からなかった。
早くこの場から逃れたくて、一歩後ずさるとあちらは半歩進んできた。