【男主】トモダチ【ツイステ】 (ページ14)

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秘密ページ14

中身を煙とともに噴水のように吹きかけた大鍋、空を舞う材料達。驚いてこちらを見る生徒、はたまた気にせず鍋を混ぜ続ける生徒。呆れた顔でこちらを見る先生。窓の外は雲も人も止まっており、大きな模型みたいだった。いつもは一人この景色を見ていたのに、目の前の男と二人この世界に残されたみたいになっていて、僕は妙な感情に支配されつつあった。

大事な懐中時計を見つめ、興味深そうにレリーフをなぞるフロイドに、なんだか自分の深層部を見られているような…そんな気分になった。
「おい。気安く触るな」
「なんでぇ？別にいいじゃん減るもんでもないしさ〜」
いや、確実に何か減ってる。
そう思い一歩下がるが、フロイドは半歩近づいてきた。また一歩下がれば半歩で距離は簡単に埋まる。身覚えのあるこの動作に嫌な予感がそっと背中を伝う。

下がるのはやめて、懐中時計に繋がるチェーンを軽く引っ張って触るのをやめさせようとするが、あっちも僕の反応を楽しんでいるのか中々譲らない。そうしているうちに互いに変な熱が入って来たのか、フロイドはチェーンを僕の首から外そうとし、僕はそれを阻止するためにあの手この手で陸に打ち上げられた魚みたいにビッチビッチ動いた。
当然そんなバカやってたら、とうとうカチリとフロイドの指が魔法石の部分を深く押し、息を飲んだ。

そして時は動き出す。
一拍、急に雑音が耳に入り込んできたかと思うと、鍋の爆発も再開したらしくものすごい音と風圧とともに水柱を大きく吹き上げた。どうしたらこんな風に失敗すんだよ。
僕はまた咄嗟にフロイドを押しやり、頭上からの爆発の煙と薬の雨に打たれ、そのまま意識を失った。

僕は目を覚ました。
見知らぬ白い天井だった。
結構な時間寝ていたらしく、頭は重いし体は硬くてだるい。
寝ぼけたまま携帯を見るともう次の日になっていた。
「え゛！！」
「もう！保健室では静かに！！！！」
「ｱｯ…ｽﾐﾏｾﾝ…」

僕が叫ぶよりももっと大きな声で間髪入れずに返してきた保健医に謝る。物凄い気迫に少し逡巡としたが、おずおずと小声で質問をする。

「あの…俺ってもしかして」
「あ〜、うん。そう。昨日授業中に運ばれてきてからずっと寝てたんだよ。眠りの作用があるオジギソウが入ってたみたいで。後、運んできてくれたリーチ君にもお礼言っときな。」
「えっフロイド君の方ですか？」

僕が捻り出したように零すと、保健医は目を細めて"一体誰とペアになってたのさ"と少しだけ笑った。