契機 ページ2
今日も今日とて、LETS BOTTI LIFE !!
いや、違う。一匹狼とでも呼んでくれよ。
いつでも心の中にいる悲しみが僕の方を向いて、おいおい兄弟、強がるなよ。泣いちゃえよ。と言うがまだ早い。学園生活はもっと長いんだから。なんとか複雑な感情をなだめすかすが、サングラスの下では苦しい顔だ。
一人でいる時間が多すぎると自然に悶々とする時間が増えていく。多分、本来の他人に割く労力や想いが有り余っているんだ。
錬金術の時は友達がいないから当然二人組が作れなくて、都合よく余った人と一緒に鍋をかき混ぜている訳だが、このクラスが奇数人じゃなくて心から良かったと思う。恐らく毎回クルーウェル先生とペアになっていたかもしれない。そうなったらもう寮に引きこもろう。あの人は僕には刺激が強すぎる…。
そして人々の話に耳を澄まして廊下を歩いていると、ハーツラビュル寮の一年が決闘を申し込み、すぐ寮長になったとか、今年、留年したのにも関わらず、優秀で謎に王者の風格のある寮長がサバナクローにいるだとか…。そういう派手で語り草になるような話は直ぐに僕の耳にも入ってきた。
絶対この手の話題って盛り上がるやつ。夕方部屋に帰ったらルームメイトとかと話に花を咲かせるんだよ。
僕は実質上、一人部屋の四人部屋を頭に浮かべ、それぞれのベットに架空の友人を思い浮かべた。けれど全然上手く想像できなくて、寮生は無理やり笑顔を継ぎ接ぎにしたハリボテみたいだった。押したら簡単に倒れてしまう。
感傷的かつ心の隙間全開状態の時に、突然やってきた秋風がいたづらに髪を吹き荒らした。気休め程度に制服のボタンを全部閉じたが、やはりそぞろに寒かった。それは体なのか、それとも心なのか。
………。
…さ、さびし〜〜〜〜!!トモダチ欲し〜〜〜!!!
僕は暗い思考に思わず足をとめ、頭を抱えて叫びたくなった。それほど得意じゃない錬金術も極めれば人間だって精製できるようになるんだろうか。一人でいるからなんの化学変化も起きない。イタチごっこさ。
もつれた思考、酒も飲んでいないのにヨタヨタ頼りない千鳥足。角道。それがいけなかった。ドンッと誰かの胸板に顔がぶつかる。僕は顔から血の気が引いていくのが嫌でもわかった。
そうここはNRC。性格に難アリな不逞の輩が集まる学園…。しかも弱肉強食。(僕は無論"弱")誠に遺憾であるが、角でぶつかったところで遅刻食パン少女なんてモノは存在しないんだ。前提として野郎共しかいないし。
30人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サジャ(プロフ) - 毎回楽しみに見ています!作者様のペースでこれからも更新頑張ってください!毎回見ていてとても楽しいです! (2022年2月15日 0時) (レス) @page24 id: a6f9474135 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ふねぬい | 作成日時:2022年2月6日 22時