27ｰ昔の面影 ページ28
.
背後から聞こえた少年の声は、今までの様な恐怖を感じる口調ではなかった。
「太宰幹部…」
伸ばした手を未だに上げた儘、数秒ほど固まっていた。
後ろをゆっくり振り返り見上げると、其処には薄く笑った太宰幹部の顔が。
「あ、あの…之は一体…？」
「君が困っていたみたいだから。…ねぇ、此のファイル欲しい？」
今までの冷酷さは何処へ行った？
そう思うくらい、彼は約一年前のような接し方だった。
突然過ぎて上手く対応出来ない。
「其れは勿論」
「そう。じゃあ＿＿」
言葉を切り、そっと目を瞑る彼。
「＿＿僕と少し話さない？」
にっこりと、私だけに向けるあの笑顔。
でも、その笑顔には、何かの感情が混ざっている様にも見えた。
「………はい」
小さく頷いて、私は腹を括った。
彼がどんな話を持ち掛けるのかは判らない。
唯、少しの期待と不安で、私の心は埋められて行った。
＊＊＊
＿＿今日、Aとの関係を変える。
僕はそう決心した。
僕がAに冷酷に接した理由は…また後で話そう。
普通に話をしようと思ったけど、矢張り何か囮を作った方が面白いと思った。
だから、彼女のファイルを彼女の身長よりも高い処に態と置いた。
彼女が休養している間に。
ぴょんぴょん跳ねたり背伸びをしたり、見に来てみれば案の定。
そんな処も可愛い。が、今はそんな事を考えている場合ではない。
彼女に近付いて、後ろから其れを取ってあげる。ここ迄は紳士。
だけど、本番は此処からだ。
「此のファイル欲しい？ …そう。じゃあ＿＿
僕と少し話さない？」
僕がそう云うと、彼女は間を開けながらも「はい」と頷いた。
その後、Aの手を引いて、僕の執務室へ歩いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 187人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (3月14日 22時) (
レス) id: 6e53b86b4a (このIDを非表示/違反報告)
にじいろ(プロフ) - ちゃむさん» いえいえ！！ 続編まで読んでくださってるんですか…!? 嬉しいです😭✨ 私もこれ書いてて、中也から乗り換えそうになってます(笑) (1月25日 0時) (レス) id: a163e2dce8 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむ - にじいろさん» あっ！そうだったんですね！！それならよかったです！いつも小説は続きからみててコメント確認してませんでした…！もう、太宰さんが格好良すぎて…。推しキャラが180度変わっちゃいました(笑) (1月23日 20時) (レス) id: b02cacdca3 (このIDを非表示/違反報告)
にじいろ - ちゃむさん» ご指摘ありがとうございます！ 青の時代から始まっているので「青の時代」と表示させて頂いています。確かに黒の時代も入っているので、「青の時代〜黒の時代」と訂正させて頂きますね！ (12月21日 21時) (レス) id: 14d2d1687b (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむ - (パクられは書いてませんでした) (12月20日 22時) (レス) id: b02cacdca3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：菜花ゆうら | 作成日時：2023年11月9日 0時
