23個目の嘘 ページ24
「Aさん」
『……何の真似?』
「要らないのですか?」
フォークにイチゴを刺したかと思えば、そのイチゴを私の口元に持ってきた魔人
ちょっとどういう流れなのかよくわからない
「チョコケヱキのお返しです」
『どう考えても釣り合わないお返しね』
「イチゴ、お嫌いですか?」
『そうじゃないけれど……っ!』
「なら問題ないですね」
さっき好きなものは最後に取っておくと言っていたばかりなのに、
そのイチゴをたった一口分のチョコケヱキの対価にするなんて思わないじゃない…!!
というより何よりも問題なのは…
「さあ、どうぞ」
イチゴが刺さったフォークを持っているのがこの魔人ってこと…!!
何…なんなの…っ?これじゃ…こ…これじゃまるで…
『あ……あーんじゃない…ッ!』
「……むしろ、"あーん"の他に何があるのです?」
『…ッッ?!』
しまった、また声が出ていたらしい
デートに続いてあーんまで否定しないってなんなの…!?
一体どういうつもりなの…!
「嗚呼、成程。無理やり口にねじ込まれるのがお好みですか?」
『ぜひともやめて頂戴』
『逆に何故そこまで食べさせたがるのかが理解できないわ』
「餌付けです」
『清々しい程最低な理由ね』
というより、そもそもそのケヱキ私が買ってきたのだけれど
なにが餌付けよ………
一応年頃の男女(?)ということを意識してほしい
「腕が痺れてきました」
『なら諦めたらいいじゃない』
『どうしてもイチゴで餌付けしたいのなら、私自分で食べるから』
「餌付けの意味がないじゃないですか」
「ぼくは諦めませんよ」
『ええ………』
面倒くさい…!実に面倒くさい…!!
何故そこまで手ずから餌付けすることにこだわっているのか
私がフォークを受け取ってイチゴを食べるのでも間接的に餌付けになっていると思うのだけど
「ぼくの腕がどうなってもいいと?」
『情に訴えかけようとしないで頂戴』
「嗚呼……このままでは壊死してしまうかもしれません」
『……』
流石にそれは貧弱どころじゃないのでは。
しかし、彼の腕が震えているのは事実だ
………食べるしかない…?
いや、でもそれはちょっと…
流石にこれは抵抗があるわ……
恋人同士ならまだわかるのだけど、私達はそんな関係じゃないもの
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ミィ - (´;ω;ノノ゙パチパチ (2021年5月18日 2時) (レス) id: d748bf27c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミーヤ | 作成日時:2019年6月20日 22時