【文スト】嘘吐き。 (ページ23)

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22個目の嘘ページ23

ゴンチャロフが持ってきてくれたアプリコットティーに、チョコの苦味とホイップクリームの甘みが絶妙なケヱキ
スポンジはふわふわでしっとりしていて…

『おいひい……！』

｢そうですね、とても美味しいです｣

スポンジとクリームに挟まれたイチゴを口に入れ、満足そうな魔人
どうやら機嫌はなおったようだ

｢…その…A様、私めにまで買ってきて下さったのはとても喜ばしいことなのですが…｣

『？ケヱキ、嫌い？』

｢滅相もない、…本当に頂いても宜しいのでしょうか？｣

『良いの、ゴーゴリがいないのが残念だけれど』

『さ、チョコとイチゴ、好きな方選んで』

｢…では、有難く頂きます｣

ゴーゴリの分も含め、イチゴとチョコを2つずつ、合計4つケヱキを買ってきた。
ところがゴーゴリは仕事だとかなんだとかでいまは居ないらしい。

ゴンチャロフが選んだのはイチゴのケヱキ
どうやらドストエフスキーと同じものが良いらしい

ケヱキを受け取るとゴンチャロフは静かに退室した

｢このケヱキ、気に入りました｣

｢また買ってきてくれると嬉しいです｣

『あら、気に入ってくれたのなら良かった』

『私もここのケヱキは大好きなの。また買ってくるわ』

どうやら魔人はお気に召したようで、オネダリまでされてしまった
まあ、言われずともまた買ってくるつもりではいたけれど

『…あなた、好きなものは最後に残しておく方なの？』

｢おや、何故です？｣

『イチゴ、取っておいてるじゃない』

｢ふふ、そうなんです。｣

｢美味しいものは最後に取っておくタチなので｣

『ふうん……』

また新たな発見
魔人は好きなものは最後に食べる派らしい

通りでさっきからイチゴをお皿の端に置いたままにしてると思った。

…なんだ、魔人の割に可愛いとこあるじゃない。

｢貴女はどちらですか？｣

『…嗚呼、好きなものを先に食べるか最後かってこと？』

『私も最後よ、好きなものは特別だもの。特別は最後にしたいじゃない』

｢ぼくと同じですね。｣

また1口ケヱキを口に入れ、御満悦な様子
…成程、ケヱキはご機嫌取りに丁度いいってことね、覚えておこう

｢チョコの方、一口頂いても？｣

『別に構わないわ』

｢ふふ、頂きます｣

フォークで一口分取り分け、チョコケヱキを食べる魔人
…なんだかホントに魔人と言われる程恐ろしい人物なのか疑わしくなってきたわ……