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20個目の嘘 ページ21

「ところで、Aちゃん」

「つい最近、とあるマフィアの傘下がヨコハマに来ていたようなのだけど」

「不思議なことに、軍警が踏み込んだ時には傘下のアジトは既に壊滅状態にあったそうでね」


「…君、何か心当たりは無いかい?」







ドキリと心臓が音を立てた。
きっとこの間の男、ミゲルが所属していたマフィアのことだ







『…さあ』

『何故それを私に?』




「…実は、軍警が踏み込んだ時、ひとりの男が喚いていたそうなんだよ」

「"愛しい人のために"、"彼女の為なんだ"、とね」

「結局のところ、彼は捕まる前に自らの頭に銃口を突きつけて、引き金を引いてしまったようなのだけど」





『きっとその男には、命を捨てられるぐらい愛せる人がいたのね』





「…本当にそう思うかい?」

「彼は組織に恩があって、それを返すべく組織に尽くしていたそうなんだよ」

「そんな彼が、たったひとりの女性の為に、恩を仇で返すと思うかい?」





『…恋は盲目、って言わない?』





「いいや…、私が思うに、彼はなにか洗脳を受けていた」

「自分の意思とは関係無く、組織を潰すように命じられたのだとしたら?」







…嗚呼…これは確実にバレてる…
これ以上は言い逃れできない

これ以上続けても、結局私がボロを出してしまうことは目に見えてわかっている
口じゃ太宰さんには一生勝てないもの。






『………そう、そうだよ、私がやったの。』



「素直で大変よろしい!」








私の頭をポンポンと叩く太宰さん
その顔は私を軍警に突き出そうという顔ではない







「仕事なのは承知しているけれど、あまり危険なことはするものじゃないよ」

「君は私の妹のようなものだからね、何かあったらと考えたら心臓に悪い」





『…わかった』

『ところで、私はいつから太宰さんの妹的存在に?』





「たった今」



『今?!』



「うん、今」






…なんだか調子が狂う
でも、太宰さんと話していると本来の私に戻れる気がする
"本来の私"がどういうものなのか、よくわからないけれど


彼と話していると気を遣わないから、きっとそういうことだろう。







「おや、もうこんな時間」

「そろそろ戻らないと、また国木田くんにどやされるなぁ」





『嗚呼…またサボりだったの……』





「勿論!本当言うと戻りたくないのだけど、なんだか重要な会議があるみたいでね」

「じゃあね、また一緒にお茶でもしよう」





『うん、…またね、太宰さん。』

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ミィ - (´;ω;ノノ゙パチパチ (2021年5月18日 2時) (レス) id: d748bf27c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミーヤ | 作成日時:2019年6月20日 22時

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