泣かないで、ジョングクくん (ページ1)

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君をひとりでは泣かせないページ1

今日も無事、収録が終わった。
そして案の定、姿の見えない彼を探しお決まりの場所を目指す。

非常階段へつながる扉を開けば、鉄骨の階段に座り膝に顔を埋めた姿。

「やっぱりここにいたんだね。」

声を掛けるけれど、返事はない。
彼は背丈はとても大きいのに、膝を抱える姿はなんとも小さく見えてくる。

空いた隣のスペースに腰掛け、もう一度彼に声を掛ける。

「泣かないで、ジョングクくん。」

そうすれば、やっと顔を上げてこちらを見てくれる彼。
いつもはぱっちりとしている綺麗な目は、涙に濡れ真っ赤に染まっていた。

「これ、食べて。」

これまたお決まりの苺ミルクのキャンディを差し出せば、無言で受け取りすぐさまそれを口に放り込む。

手渡す瞬間に触れた指先は、吹き荒れる風のせいで冷たくなってしまっていた。

JK「また、振り間違えちゃった。」

あんなに練習したのに、そう言ってまた俯いてしまう。

形のいい頭を撫でながら、彼の零す言葉ひとつひとつに相槌を打つ。

「悔しいね。」

私の言葉に無言で頷くジョングクくん。
その後は言葉を交わすことはなく、ただ風の音だけが鼓膜を震わせる。

「そろそろ行こっか。」

大丈夫？そう言って顔を覗き込めば、まだ悲しい顔をしているけれど、立ち上がってくれた彼。

彼の手を両手で握る。
歳下なのに、私なんかよりずっと大きいそれ。

「大丈夫だよ、ジョングクくん。」

そう言えば、眉を下げながらも小さく笑ってくれる。

いつだって、何度だって泣いていいよ。
それを拭うのが私の仕事なんだから。