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撮影終わり、久しぶりにあの店へ向かった。
「こんばんは。」
いらっしゃい、といつものようにソファから笑い掛けてくれるテソンさん。
お決まりの席につき、そっと店内を見渡す。
オレンジの柔らかい照明に照らされた室内。
街中の喧騒さえも心地よく感じるほど穏やかな空間。
TS「謝罪しなければいけないことがあるんです。」
ミルクティを置きながらそう言う彼。
TS「あの本を処分せず、ある方に譲ったんです。」
「譲った…?」
TS「貴方のことを酷く心配しているようで、思わず渡してしまいました。」
もしかして、ユンギのことだろうか。
「処分するつもりだったので、どうしようとテソンさんの自由ですから。」
TS「そう言ってくださると助かります。」
そうか、あの本はユンギの手元にあるのか。
本好きの彼だが、忙しい中で読む暇なんてないだろうな、そう思いながらミルクティをすする。
「テソンさんとこのお店には本当にお世話になりました。」
大好きな場所でした、そう笑顔で伝える。
作業をしていた手を止め、じっと私を見つめる彼。
女優をやめてからどう生きていくか、何も決められていないけれど、もしかしたら最後かもしれない、そう思って言葉を紡ぐ。
TS「ひとつ、お願いをしたいことがあるんですが…」
彼の話に耳を傾ける。
それは思いもよらない内容だった。
「そんな…でも…」
TS「無理にとは言いません。」
だけど、頼めるのがAさんしかいなかったので。
どこか悲しげなのに暖かく笑うテソンさん。
これからどう生きていくか。
漠然と広がる世界にひとつの道筋が開いたような感覚を覚える。
私にそんな素敵な生き方が許されるだろうか。
それでも、彼の提案は私の背中をそっと押してくれるようだった。
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土星(プロフ) - (≧∇≦)さん» 作品を読んでくださり、感謝します。気分を害すなど、とんでもないです!少しでも楽しんで頂けたようでしたら、嬉しいです。コメントありがとうございました! (2020年12月3日 17時) (レス) id: fe9093fdaf (このIDを非表示/違反報告)
(≧∇≦)(プロフ) - 土星さん» そうなんですね!…失礼しました…とても詩が心にくるものだったので、もしかしたら何かの詩を元にしたのかとかになりコメントさせていただきましたら。気分を害してしまっていたらすいません。とてもこの作品に感動しました。 (2020年12月3日 17時) (レス) id: d81d3472fb (このIDを非表示/違反報告)
土星(プロフ) - (≧∇≦)さん» この詩は一応、自分で考えたものです。でもよく書かれるような内容なので、既存の何かしらと似てしまったのかもしれません。 (2020年12月3日 7時) (レス) id: fe9093fdaf (このIDを非表示/違反報告)
(≧∇≦)(プロフ) - この詩は何の詩ですか?なにか見た覚えもあるような気がして… (2020年12月3日 3時) (レス) id: d81d3472fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:土星 | 作成日時:2020年10月21日 18時