最年長には子供がいる

ヒョン （No side） ページ17

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『チャニ、おいで。』

とある練習室にて、休憩中にSEVENTEENの最年長であるAが、柔らかい声でマンネのディノを呼んだ。


何事かとメンバーは耳を傾ける。


ディノの浮かない表情からして思い当たる節はあるようだ。


『どうしたの〜？今日上手くいかないね、１回一緒に散歩行こっか。』

Aがディノをぎゅっと抱き寄せ、散歩へ誘う。
どうやらマンネはダンスのスランプに陥ったらしい。

DN「…はい。ごめんなさい、ヒョン」
『何謝ってるの〜謝ることなんてなんもないよ、さ、いこ！』

いつもよりも幾分か間延びした喋り方をしたAはディノと共に練習室を出ていった。




その他メンバーからの羨ましそうな視線を背中に受けながら。




・




1時間ほど経った後、2人は帰ってきた。

『ただいま！練習混ざりまーす』

DN「僕も混ざります」

本来の調子は完全に戻っていないとはいえ、マンネの顔は明るさを取り戻していた。
そこからは1度も大きく乱れること無く練習の終わりを迎えた。

『チャニ』
『チャニ！』
『チャニ〜』

1日に何十回も聞こえるマンネを呼ぶ声。
勿論、普段はここまで名前を呼ぶことはない。
何処へ行くにも、何をするにもその日のAはディノの横にべったり。頭を撫でたり、ハグをしたり…いきなり好きなところを次々と挙げたり。

ミンギュあたりから抗議の声が聞こえてもいいはずだが、当の本人はチラチラと様子を伺うだけで特に何もする様子はない。


それもそのはず。
この最年長のヒョンは悩んでいるメンバーに対してこういったデロデロに甘やかした励まし方をするのだ。


実の弟のソウにすらこういった励まし方はしない。
本人曰く、『弟に対して甘やかすだけでなく厳しさや考える機会を与えるのも俺の役目。メンバーは俺じゃない人が厳しいことを言うんだから、俺はただひたすらに甘やかしたいんだ〜』ということらしい。


成人男性相手にこんな事をするのはいかがなものか、という意見があるだろうが、実際問題全てのメンバーにおいてAの励まし方がよく効いている。現時点で無敗、というところだ。



それを知って、どんなに1人をデロデロに甘やかしてもほかのメンバーが兎や角言うことは無い。
愛され兄さんを独り占めしているメンバーを羨ましく見ながら、その弟のソウを甘やかす構図が生まれる。







夜を迎える頃には落ち込んでいたマンネもAの技に溶かされてご機嫌。



最年長の兄さんには誰も敵わないとのこと…。

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